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「唐黍(とうきび)」は、イネ科の一年草である「トウモロコシ(玉蜀黍)」のことです。16世紀末にポルトガル人によって長崎に持ち込まれ、南蛮(唐)から渡来した黍(きび)に似た植物であることから「唐黍」と名付けられました。地方によっては今でもトウモロコシを「トーキビ」と呼ぶ地域が多く親しまれています。 俳句では秋の季語とされ、初秋から仲秋にかけて大人の背丈を超えて青々と茂る畑の力強さや、黄褐色に熟して絹糸のような毛(雌しべ)を垂らす姿、そして実をもぎ取って茹でたり焼いたりする生活の匂いまで、多様な切り口で親しまれてきた季語です。
唐黍を詠む際は、視覚だけでなく「音」「匂い」「触感」などの五感を働かせることがポイントです。 広大な畑で幅の広い葉がざわめく「葉擦れの音」は、秋風の到来を敏感に知らせてくれます。また、実を覆う幾重もの皮を剥く感触、粒の輝き、焦がし醤油の香ばしい匂いなど、具体的な描写を重ねることで生活感や郷愁を豊かに立ち上げることができます。 実そのものをアップで捉えるか、背高くそびえ立つ唐黍畑を風景として引いて捉えるか、視点の距離感をはっきり意識すると焦点の定まった句になります。
・風や音を表す言葉(葉擦れ、秋風、ざわめく、夕風、風渡る) ・生活や味覚・嗅覚に結びつく言葉(焦げ目、湯気、夕餉、茹でる、皮を剥く、縁側) ・視覚や天候(夕日、茜空、土埃、露、青空、畦道)