俳句びとは、季語から一句を詠んで共有できる無料の俳句SNSです。気になる季語を選んで、一句詠んでみましょう。
正岡子規や高浜虚子などの名句(出典つき)とともに、8月を代表する季語を紹介します。
あきかぜ・しゅうふう
秋風や伊豫へ流るゝ汐の音
意味・由来 「秋風(あきかぜ・しゅうふう)」は、立秋を過ぎてから吹く秋の風全般を指す季語です。夏の厳しい暑さを忘れさせる心地よい涼風から、深まる季節とともに肌寒く、どこか寂しさを漂わせる風まで、秋の風情を幅広く表現します。古代中国の五行思想において秋は「金」や「白」に配されることから、「金風(きんぷ
いなずま
稻妻に行きあたりたる闇夜哉
意味・由来 「稲妻(いなずま)」は、秋の夜空を一瞬にして鮮やかに照らし出す電光を指します。古くは、稲が実をつける初秋の時期に雷光が多いことから、雷の光が稲を結実させるという信仰がありました。そこから「稲の夫(つま)」という意味で「いなづま」と呼ばれるようになり、やがて実りをもたらす恵みの光としても捉
つゆけし
ひよろ〳〵と尙露けしや女郞花
意味・由来 「露けし(つゆけし)」は、秋の野山や庭先などに露が多く降りて、あたり一面がしっとりと湿り気を帯びている情景を表す季語です。古来、和歌の伝統において「露」は涙の比喩としても多用されてきたため、単に物理的に露で濡れている様子だけでなく、「涙がちである」「どことなく哀愁が漂っている」という人の
あかとんぼ
砂濱にとまるものなし赤蜻蛉
意味・由来 「赤蜻蛉(あかとんぼ)」は、秋の訪れを代表する三秋の季語です。主にアキアカネやナツアカネなど、秋になると鮮やかな赤色に色づくトンボの総称です。夏の間は涼しい高山で過ごし、秋風が吹く頃に平地へと群れをなして下りてきます。夕暮れの空を背景に無数に飛び交う姿や、日だまりの竿の先などに静かにとま
とうがらし
頓入や納屋をあくれば唐辛子
意味・由来 唐辛子は中南米原産の一年草(熱帯では多年草)で、日本には16世紀半ばに南蛮船によってもたらされたと伝えられています。夏に白い小さな花を咲かせた後、秋になると果実が熟して緑から鮮烈な赤色へと変わります。俳句で単に「唐辛子」という場合は、秋に赤く実った果実を指します。収穫された唐辛子が軒下に
あきのくも
頭上の岩をめぐるや秋の雲
意味・由来 「秋の雲」とは、文字通り秋の空に浮かぶさまざまな雲の総称です。夏の力強く湧き上がる積乱雲(入道雲)とは対照的に、秋になると空が高く澄み渡り、巻雲や巻積雲のような薄く刷毛で掃いたような雲、いわゆる「鰯雲(いわしぐも)」や「鱗雲(うろこぐも)」などが多く見られます。空の透明感とともに、どこか
あきぞら
目にて書く大いなる文字秋の空
意味・由来 「秋空(あきぞら)」は、文字通り秋の空を指す三秋の季語です。夏の湿り気を帯びた空とは異なり、大陸からの乾燥した高気圧に覆われることで、大気中の水蒸気や塵が少なくなり、どこまでも澄み渡った高い青空が広がります。「秋高し」「天高し」とも通じる広大さや清々しさがある一方で、どこか寂寥感や物悲し
のわき
やせ馬の尾花恐るゝ野分哉
意味・由来 「野分(のわき)」とは、二百十日や二百二十日の前後に吹く激しい暴風、すなわち秋の台風のことです。その名は「野の草を激しく吹き分ける風」という詩的な観察に由来し、平安時代には『源氏物語』の巻名にもなるなど、古くから親しまれてきた言葉です。現代の天気予報で使われる「台風」という無機質な気象用
とうろう
燈籠としらずに來たり灯取虫
意味・由来 「灯籠(とうろう)」は、古くから神仏への献灯や道案内、庭園の明かりとして親しまれてきた照明具です。俳句で単に「灯籠」と詠む場合は、主に初秋(旧暦7月)、お盆の時期に死者の精霊を迎えて供養するために飾られる「盆灯籠」や「切子灯籠(きりことうろう)」を指すことが多く、秋の季語に分類されます。
あさぎり
朝霧の富士を尊とく見する哉
意味・由来 「朝霧」は、秋の早朝に大地や水面から立ち込める霧のことを指します。放射冷却によって夜間に地表が冷やされ、空気中の水蒸気が凝結することで発生します。春の「朝霞(あさかすみ)」が穏やかでぼんやりとした柔らかさを持つのに対し、秋の「朝霧」は冷涼で湿り気を帯び、やがて陽光によって晴れていく一瞬の
けさのあき
張ぬきの猫も知るべし今朝の秋
意味・由来 「今朝の秋(けさのあき)」とは、立秋(りっしゅう・現在の8月7日頃)の当日の朝を指す時候の季語です。暦の上で初めて秋を迎えた朝を意味し、まだ厳しい夏の猛暑が続いている時期でありながら、吹き抜ける風のひとすじや朝露、光の角度などに、ふと秋の気配(涼気や澄んだ空気)を感じ取る繊細な喜びや新鮮
おとしみず
うき草やしかも山田の落し水
意味・由来 「落し水(おとしみず)」とは、初秋から仲秋にかけて、稲刈りを控えた田んぼから水を抜くこと、またその抜かれて水路へと勢いよく流れ出る水を指す季語です。春の田植え以来、稲の成長を支えてきた田の水を落とす作業は、いよいよ収穫期が訪れたことを告げる農作業の大切な節目です。豊かな実りへの喜びととも