灯籠踊

灯籠踊

とうろうおどり

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意味・由来

「灯籠踊(とうろうおどり)」は、秋(初秋・仲秋)の季語で、頭上に灯籠を載せたり、手に灯籠を持ったりして舞い踊る盆踊りの一種です。代表的なものとして、熊本県山鹿市で毎年八月中旬に開催される「山鹿灯籠まつり」の「千人灯籠踊り」が広く知られています。浴衣姿の女性たちが、和紙と糊だけで作られた金灯籠を頭に載せ、宵闇の中でゆったりと優雅に舞う姿は幻想的で、夏の終わりから秋へと移ろう季節の情緒や、祖霊を慰める祈りの心を色濃く伝えています。

この季語で詠むコツ

灯籠踊を詠む際は、暗闇と揺らめく灯火の「明暗のコントラスト」、そして踊り手の「揃った所作の美しさ」に着目するのがポイントです。頭上の灯籠が描く柔らかな光の軌跡、衣擦れの音、夜風の感触などを捉えることで、動と静が美しく調和した一句になります。賑やかな祭りの熱気そのものよりも、どこか幽玄で哀切を帯びた、秋ならではの静寂や余情を意識して詠み込むと深みが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

灯籠踊の幻想的な情景を引き立てるには、闇や光を際立たせる言葉や、夜の気配を伝える表現がよく合います。 ・視覚・光:「金の灯(ひ)」「宵闇」「かすけき光」「うねり」「残像」 ・聴覚・所作:「手拍子」「しなやか」「揃ひたる」「衣擦れ」「輪」 ・情景・時間:「星月夜」「秋風」「夜気」「露」「川波」

灯籠踊」の俳句例 (3件)

燈籠踊身をひるがへしひるがへし
水原秋櫻子【現代語訳】頭に灯籠を載せた踊り手たちが、次々と身を翻し、身を翻して美しく舞っている。 【鑑賞】踊り手たちの一糸乱れぬ優美な所作が、「身をひるがへしひるがへし」というリズミカルな畳語によって鮮やかに捉えられています。夜の闇の中に灯籠の光が描く流れるような軌跡と、洗練された踊りの躍動感が目に浮かぶ名句です。
燈籠踊ひとへに闇を愛しけり
中村汀女【現代語訳】灯籠踊りは、ただひたすらに夜の深い闇を慈しみ、愛するようにして舞われている。 【鑑賞】熊本出身の汀女ならではの、山鹿灯籠踊りへの深い情愛が込められた一句です。光そのものを際立たせるのではなく、光を受け止める「闇」への愛着として表現することで、幽玄でしっとりとした秋の夜の美しさを際立たせています。
燈籠踊頭の灯を揃へけり
高浜年尾【現代語訳】灯籠踊りの踊り手たちが、頭上に載せた灯火の高さをぴたりと揃えて舞っている。 【鑑賞】多くの女性たちが頭に金灯籠を載せて舞うとき、その無数の灯がまるで一つの生き物のように整然と揺れ動く光景を、客観的な写生で切り取っています。「揃へけり」という措辞に、静謐で一糸乱れぬ美への感嘆が込められています。

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