しいら

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意味・由来

「鱪(しいら)」は、スズキ目シイラ科に属する大型の海水魚で、初秋の季語です。暖かい外洋を回遊し、体長は1メートルから2メートル近くにも達します。雄の成魚は頭部が角張った特異な形をしており、泳いでいるときはエメラルドグリーンや黄金色に美しく輝くのが特徴です。しかし、釣り上げられて命が絶えると急速に銀灰色へと色褪せてしまいます。その鮮烈な色彩変化と豪快な引きの強さから、秋の海の生命力や無常観を象徴する魚として詠まれます。

この季語で詠むコツ

鱪を詠む際は、海中での「鮮烈な青や黄金の輝き」や、釣り上げられた瞬間の「激しい跳躍・躍動感」、あるいは「死とともに失われる色彩の儚さ」に着目すると効果的です。南の海、黒潮の青、波頭の白といったコントラストの強い色彩の言葉を配することで、ダイナミックで力強い情景を描き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩の言葉: 碧、黄金、紺碧、エメラルド、虹
  • 動き・感覚: 跳ねる、引く、潮煙(しおけむり)、黒潮、しぶき
  • 海洋の景物: 釣舟、水平線、南風(みなみ)、沖合

」の俳句例 (3件)

鱪釣るや日にかがやける海の紺
水原秋桜子【現代語訳】鱪を釣り上げていると、陽光を浴びて海の一面の紺色が眩いばかりに輝いている。 【鑑賞】太陽の光に照らされた深い紺色の海と、釣り上げられた鱪が放つ黄金や青のきらめきが見事に対比されています。秋晴れの爽快な海原の広がりと、豪快な釣りの瞬間の美しさを鮮やかに捉えた一句です。
鱪跳んで潮青みどり極まりぬ
日野草城【現代語訳】鱪が勢いよく海上に跳ね上がり、その瞬間に海の色がこの上なく鮮やかな青緑色に極まった。 【鑑賞】鱪自体のエメラルドグリーンの体色と、南の黒潮の青緑とが融け合い、最高の色彩美に達した瞬間を捉えています。「極まりぬ」という強い断定により、生命と自然美のクライマックスを見事に表現しています。
鱪打つて潮煙をあげにけり
阿波野青畝【現代語訳】巨大な鱪が海面を激しく叩いて暴れ、白い潮煙のような水しぶきを巻き上げている。 【鑑賞】針にかかった鱪の凄まじい抵抗と生命力を「潮煙」というダイナミックな描写で切り取っています。飛沫が霧のように立ち込める迫真の瞬間を通じて、秋の海の荒々しい息吹を実感させます。

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