苔桃の実
autumn 植物

苔桃の実

こけもものみ

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意味・由来

苔桃の実(こけもものみ)は、高山や寒冷地のハイマツ帯・岩場などに自生するツツジ科の常緑小低木「コケモモ」が秋に結ぶ果実のことです。初夏に淡いピンク色の可憐な釣鐘形の花を咲かせた後、秋(8月下旬〜10月頃)になると、直径1センチに満たない艶やかな真紅の丸い実をつけます。厳しい風雪に耐えながら地を這うように広がる濃い緑の葉と、鮮烈な赤い実の対比は、澄み渡る秋の高山景観に美しい彩りを添えます。酸味が強く、果実酒やジャムなどにも親しまれています。

この季語で詠むコツ

高山植物としての背景を活かし、岩肌や尾根筋、ハイマツ、山霧といった山岳特有の厳しい自然と対比させるのが効果的です。険しい岩場に小さく健気に輝く「真紅の鮮やかさ」や、実を口に含んだときの「鋭い酸味」、登山者の肌をなでる「冷気」など、視覚・味覚・触覚を刺激する描写を取り入れると、秋の高山の清冽な空気感がぐっと引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 地形・自然環境:岩肌(いわはだ)、稜線(りょうせん)、尾根(おね)、ハイマツ、山気(さんき)、山霧(やまぎり)、雲海
  • 色彩・質感:真紅(しんく)、あかね、露(つゆ)、粒(つぶ)、濡つ(ぬれつ)
  • 行為・感覚:噛む(かむ)、摘む(つむ)、掌(てのひら)、酸っぱし、風の冷え、山靴

苔桃の実」の俳句例 (3件)

苔桃の実に触れて来し指の冷え
水原秋桜子【現代語訳】苔桃の実に触れてきたばかりの指先が、秋の山の冷気に触れたようにひんやりと冷たい。 【鑑賞】高山で可憐に実る苔桃の実にそっと手を伸ばした瞬間の、触覚の冷たさを捉えた句です。赤い実の愛らしさと同時に、晩秋の高山特有の肌を刺すような澄んだ冷気が、指先の感覚を通して鮮やかに伝わってきます。
苔桃の実のあざやかに霧走る
福田蓼汀【現代語訳】苔桃の赤い実が鮮やかに際立つなか、山の霧が風に乗って勢いよく流れてゆく。 【鑑賞】吹き抜ける白い濃霧と、その合間にくっきりと浮かび上がる苔桃の赤い実の対比が鮮烈な一句です。「走る」という動的な表現により、高山の変わりやすい気象の激しさと、その厳しさのなかで輝く生命の強さが描き出されています。
苔桃の実に霧ふかくただよへる
前田普羅【現代語訳】苔桃の実に、深く立ち込めた山霧が静かに漂っている。 【鑑賞】前田普羅が得意とする山岳俳句の一句です。深い霧に包まれて静まり返る山上の世界で、露に濡れながらじっと佇む苔桃の実のひそやかな存在感が、深い静寂と幽玄な趣を醸し出しています。

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