心の月
autumn 天文

心の月

こころのつき

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意味・由来

「心の月(こころのつき)」とは、仏教の言葉である「心月(しんげつ)」に由来する秋の季語です。仏教では、人の心の中に本来具わっている清らかで曇りのない仏性(悟りの境地)を、暗闇を明るく照らす満月にたとえました。俳句においては、実際の夜空に浮かぶ秋の月だけでなく、澄み切った秋の気配の中で自分自身の内面を見つめたときに感じられる「純粋で静かな心」「迷いのない精神の輝き」を象徴する季語として用いられます。

この季語で詠むコツ

夜空の実景描写に終始するのではなく、「自己の内面」や「精神的な静けさ」に焦点を当てることが最大のポイントです。秋の夜の静寂、澄んだ空気感、物思いに沈む時間などを通して、己の心の中にふと浮かび上がった清らかさや、逆に晴れきらない迷いなどを表現すると深みが生まれます。観念的(頭でっかち)になりすぎないよう、身近な静寂や具体的な動作(夜長に坐す、灯を消すなど)と結びつけると共感を呼びやすくなります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・静寂・夜の情景を表す言葉(夜長、秋の夜、灯を消す、静けさ、独坐など) ・内省や精神の動きを表す言葉(澄む、曇る、照らす、己、友など) ・仏教・精神的な空間(寺、堂、座禅、経など)

心の月」の俳句例 (3件)

曇りなき心の月や法王堂
松尾芭蕉【現代語訳】法王堂の厳かな空間に身を置くと、我が心の内には一点の曇りもない澄み切った月が輝いているようだ。【鑑賞】仏の教えや神聖な場所に触れ、日常の雑念が払い落とされて心が明鏡のように清らかになった瞬間を捉えた格調高い一句です。
心の月見る人稀に秋の夜
向井去来【現代語訳】澄み渡る秋の夜だというのに、自分の内面にある清らかな心(心の月)を見つめようとする人は実に稀なことだ。【鑑賞】夜空の月を眺めて騒ぐ世人に対し、静かに自己の内省を深めることの尊さを詠み上げており、蕉門の高弟らしい精神性の高さが光ります。
我心の月を友とす秋の夜
正岡子規【現代語訳】長い秋の夜、静寂の中で自らの澄んだ心に浮かぶ月だけを唯一の友として過ごしている。【鑑賞】病臥にあって孤独な境遇にあっても、己の精神を研ぎ澄まし、澄明な心を拠り所として文学と向き合う子規の気高い志が伝わってくる句です。

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