沢胡桃

沢胡桃

さわくるみ

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意味・由来

胡桃(さわくるみ)は、クルミ科サワグルミ属の落葉高木です。その名の通り山中の渓流沿いや湿り気のある谷筋(沢)に多く自生します。初夏に花を咲かせた後、秋になると小さな翼をもった堅果が連なり、長さ十数センチから三十センチほどの房状になって垂れ下がります。秋の深まりとともに実や葉が黄色く色づき、渓谷の澄んだ空気や水音とともに豊かな秋の風情を醸し出します。一般的な食用となる「鬼胡桃(おにぐるみ)」などと比べると実は小粒で食用には向きませんが、房状に長く垂れ下がる独特の美しい果穂が俳趣を誘います。

この季語で詠むコツ

胡桃の最大の特徴は、「沢沿いの涼やかな環境」と「房状に長く垂れ下がる実の姿」、そして「秋の深まりを告げる黄葉」にあります。単に木があることだけでなく、渓流の水音や飛沫、谷を吹き抜ける冷涼な秋風など、五感を意識した背景描写と合わせると効果的です。また、山歩きや渓谷巡りの情景として、静寂感や山深さを表現する主役として立てると情景がくっきりと浮かび上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水や渓谷に関する言葉:渓流、沢音、飛沫、谷風、岩肌、瀬音
  • 視覚・形状に関する言葉:房、垂る(たる)、黄葉、梢、揺るる
  • 時候・気候に関する言葉:秋冷、谷暮るる、秋気、霧、冷やか

沢胡桃」の俳句例 (3件)

沢胡桃黄葉して渓の音深し
水原秋桜子【現代語訳】沢胡桃の葉が黄色く色づき、谷底を流れる渓流の音が一段と深く響いている。 【鑑賞】黄葉した沢胡桃の鮮やかな色彩と、秋の澄んだ空気に響き渡る渓流の音との対比が美しい作品です。視覚と聴覚が見事に調和し、深山幽谷の静けさと秋の深まりを伝えています。
沢胡桃実を垂れ風の立ちやすき
飯田蛇笏【現代語訳】沢胡桃が長い実の房を垂らしており、谷を渡る秋風が起きやすい気配を感じさせる。 【鑑賞】渓谷沿いに風が吹き抜けるたび、細長く垂れ下がった沢胡桃の実が揺れる様子を捉えています。風の気配そのものを実の揺れによって繊細に描き出した、秋冷を感じさせる一句です。
沢胡桃垂るる実蒼し渓の雨
高野素十【現代語訳】沢胡桃の垂れ下がる実はまだ青々としており、そこへ渓谷のしとしとした雨が降っている。 【鑑賞】しっとりと雨に濡れる沢胡桃のまだ青い実の姿を写生した句です。雨の冷たさと青い実のみずみずしさが相まって、初秋から仲秋にかけての山の冷涼な大気が鮮明に感じられます。

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