胡桃
autumn 植物

胡桃

くるみ

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意味・由来

胡桃(くるみ)は、秋に収穫を迎える代表的な木の実であり、晩秋の季語です。果実のなかに、極めて硬い殻に包まれた核(種子)があり、古くからその香ばしい「仁(じん)」を食用として親しまれてきました。俳句における胡桃は、単なる植物としての姿だけでなく、硬い殻を割る時の独特の音、手に握った時のごつごつとした感触、あるいは割った後の殻の緻密な造形など、五感を刺激する生活のひとコマとして描かれることが多いのが特徴です。

この季語で詠むコツ

胡桃を詠む最大のコツは、「硬さ」と「音」にフォーカスすることです。「胡桃を割る」という行為には、日常の静けさや、自分の内面を見つめる孤独な時間が伴います。殻を叩き割る一瞬の鋭い音、あるいは力を込める手のひらの痛みに着目することで、主観的な心情や、室内の静寂を際立たせることができます。また、割らずに「二つの胡桃を手のひらで転がす」といった動作も、秋の寂寥感や思索の時間を表現するのに適しています。

相性のいい言葉・取り合わせ

・音を際立たせる言葉(静けさ、夜の雨、深夜、ひびき、乾く) ・触覚や身体を意識する言葉(掌、指先、爪、堅し、握る) ・机まわりの景物や孤独を表す言葉(灯火、書斎、一人の夜、古い器)

胡桃」の俳句例 (3件)

胡桃割るやいづこも暗きおのが影
中村草田男【現代語訳】胡桃を割っていると、部屋のあちこちに、自分自身の暗い影が落ちているのが見える。【鑑賞】胡桃の硬い殻を割るという、ひたむきで少し力を要する孤独な作業。その一瞬一瞬に、自分の周囲に落ちる影の暗さが意識されます。自己の内面を見つめるような、草田男らしい厳格さと深い省察が込められた一句です。
胡桃割る音のしづかや夜の雨
飯田蛇笏【現代語訳】夜の雨がしとしとと降る静けさの中で、胡桃を割る音だけがしずかに響いている。【鑑賞】外は静かな夜の雨。部屋の中で胡桃の殻を割る「コン」という乾いた音が、雨の音と溶け合うように響きます。静寂のなかに際立つ音の粒が、秋の夜長のしみじみとした情感と、落ち着いた心地よさを醸し出しています。
胡桃割るわが掌をいたはらむ
細見綾子【現代語訳】硬い胡桃を割ったあと、その力を尽くして痛んだ自分の手のひらを、そっといたわってあげよう。【鑑賞】胡桃を割るのには思いのほか力が要り、手のひらに殻の凹凸が赤く残ったりします。その小さな痛みに目を留め、自分自身の身体を優しくいたわる作者の、日常に対する温かく細やかな眼差しが魅力的な句です。

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