花桐

花桐

はなきり

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意味・由来

「花桐(はなきり)」は、高木である桐の木に咲く、淡い紫色の釣鐘状の花を指します。一般的に桐の花は初夏に咲く印象が強いですが、晩夏から初秋にかけても名残の花を見ることがあり、また古来「桐一葉」に代表されるように桐は秋の訪れを象徴する樹木として深く親しまれてきました。高い梢にいっぱいに咲きこぼれる淡紫の花は、高貴でありながらどこか哀愁と静けさを帯びており、秋のはじまりの澄んだ空気や寂寥感と響き合います。

この季語で詠むコツ

桐は非常に背の高い木であるため、必然的に視線が「見上げる」構図になりやすいのが特徴です。そのため、花そのものの細部を描くよりも、青く澄みわたる初秋の空との対比や、梢を見上げたときの光の陰影、あるいは風によってぽとりと地面に落ちた大きな花のかたまりに着目すると、立体的な句になります。淡い紫色の色彩感や、どこか物悲しい叙情を大切に詠み込みましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:「淡紫(うすむらさき)」「暮色」「澄む空」「秋気」 ・情景・動作:「仰ぐ」「落ち散る」「風渡る」「寺苑」「日ざし」 ・心情:「寂けさ」「夕心」「静けし」「名残」

花桐」の俳句例 (3件)

花桐やどこをながるる夕心
久保田万太郎【現代語訳】桐の花が咲いている。この夕暮れ時、私の物思いに沈む心は一体どこを彷徨い流れていくのだろうか。 【鑑賞】薄紫の桐の花が咲く夕暮れの情景に、自身の所在なく揺れ動く切ない心情を重ね合わせた一句です。「夕心」という情緒豊かな言葉が、花桐の持つ淡く儚い風情を際立たせています。
花桐や静かに暮るる谷の奥
松本たかし【現代語訳】桐の花が咲き誇る谷の奥処で、静けさに包まれながらゆっくりと日が暮れてゆく。 【鑑賞】山深い谷間にひっそりと咲く花桐の姿と、音もなく訪れる夕暮れの静寂が見事に描かれています。淡い紫の花が夕闇に溶け込んでゆくような、格調高く幽玄な気品が漂う作品です。
花桐の淡紫を仰ぎけり
富安風生【現代語訳】高くそびえる桐の梢に咲く、淡い紫色の花をしみじみと見上げたことだ。 【鑑賞】高い梢を見上げるという桐ならではの視点と、その独特な淡紫の美しさをストレートに捉えた句です。澄んだ大気の中で花桐を見上げる作者の素直な感動と、清々しい空間の広がりが感じられます。

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