山椒の実

山椒の実

さんしょうのみ

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意味・由来

「山椒の実(さんしょうのみ)」は、秋に熟した山椒の木の実を指す晩秋の季語です。初夏に収穫される青い実は「実山椒」として夏の季語(または料理の素材)として親しまれますが、秋になると実が赤褐色に熟し、外皮が裂けて中から艶やかな黒い種子が顔を出します。その独特のピリリとした芳香や辛味、小さく粒立つ姿、そして秋の深まりとともに熟れ落ちる様子に、野趣と季節の移ろいが感じられます。

この季語で詠むコツ

山椒の実は、その「粒の小ささ」「黒と赤の対比」「はじける形」「鼻に抜ける爽烈な香りや舌への刺激」など、五感を刺激する特徴を多く持っています。単に視覚的な風景を描くだけでなく、香りや触感、あるいは山里の静けさや日差しの傾きといった秋特有の陰影と結びつけると、季語の持つ存在感が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:黒、赤、はじく、こぼる、秋日、日向、夕影 ・場所・情景:山里、庭先、垣根、古寺、峠、薬研、すり鉢 ・感覚・動作:噛む、香る、摘む、弾ける、ピリリと、掌(てのひら)

山椒の実」の俳句例 (3件)

水洟や実山椒噛む小庭先
芥川龍之介【現代語訳】秋の寒さで鼻水が出そうになりながら、小さな庭先で実山椒を一粒噛んでみたことだ。 【鑑賞】冷え込む秋の庭先で、熟した山椒の実を口に含んだ瞬間の鋭い刺激と香りが、身体感覚として鮮明に伝わってきます。秋の寒気と山椒の辛味が鮮やかに対比された一句です。
山椒の実黒く熟れけり山の寺
村上鬼城【現代語訳】山寺の境内で、山椒の実が皮を割って黒く熟していることだ。 【鑑賞】山寺の静寂の中に、黒々と光る山椒の熟れた実が点々と見えています。素朴でありながら陰影のある山里の秋の風情を、無駄のない言葉で捉えています。
山椒の実こぼれて低き日向かな
加藤楸邨【現代語訳】熟した山椒の実が地面にこぼれ落ちており、そこには晩秋の低くなった日差しが弱々しく射している。 【鑑賞】弾けてこぼれ落ちた小さな山椒の実と、秋深まり傾いた日差しの取り合わせが、静かでどこか寂寥感のある季節の深まりを美しく描き出しています。

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