南部の火祭

南部の火祭

なんぶのひまつり

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意味・由来

「南部の火祭(なんぶのひまつり)」は、山梨県南巨摩郡南部町の富士川河川敷で、毎年8月15日の夜に行われる初秋の伝統行事です。盆の送り火と川施餓鬼(水難者や万霊を供養する法要)が一体となった祭りで、数百年の歴史を持ちます。 川原に積まれた百八基の篝火に一斉に点火される「百八たい(ひゃくはったい)」や、火のついた松明を縄で勢いよく振り回して竿の上の籠へ投げ上げる「投げ松明」、打ち上げ花火などが催され、漆黒の夜空と富士川の急流が赤々と染まる壮大な光景が特徴です。季語としては、送り火としての哀切・鎮魂と、荒々しく燃え盛る火のエネルギーが共存しています。

この季語で詠むコツ

夜の闇や富士川の水勢という「暗・冷」と、燃え盛る炎や火柱の「明・熱」の鮮やかな対比を意識することが基本です。祭りのスケール感に引きずられて説明的にならないよう、舞い散る火の粉の鋭さ、松明を投げる男たちの掛け声や腕の力強さ、あるいは川瀬の轟きといった具体的な一瞬を切り取ると臨場感が出ます。遠景から見た幻想的な火影を静かに捉えるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や自然:富士川、川波、瀬音、水脈(みを)、川風、急流 ・光と闇:暗がり、火の粉、火柱、篝火、松明、真闇、赤き波 ・動作・感覚:摶(う)つ、奔(はし)る、焦がす、投ぐる、轟く、遠火

南部の火祭」の俳句例 (3件)

南部の火祭川の真暗がりを摶ち
長谷川秋子【現代語訳】南部の火祭の激しい炎が、富士川の底知れぬ真暗がりを激しく打ち据えるかのように燃え盛っている。 【鑑賞】富士川の漆黒の暗闇と、そこに激しく燃え上がる火勢の衝突を「真暗がりを摶ち」と力強い動詞で表現した一句。視覚的な明暗だけでなく、祭りの激しさと夜の深さが鮮やかに際立っています。
南部の火祭富士川の瀬を赤うして
有働亨【現代語訳】南部の火祭の炎が、富士川の激しい川瀬を赤々と染め上げながら流れてゆく。 【鑑賞】百八基の篝火や松明の火が富士川の白波を朱色に染める壮麗な景を描いています。滔々と流れる大河の冷たさと猛る火の赤さが一枚の絵のように調和し、送り火の持つ哀歓を静かに漂わせています。
南部の火祭天にとどろく火柱あり
草間時彦【現代語訳】南部の火祭の場では、天まで届かんばかりに音を立てて燃え盛る火柱が立っている。 【鑑賞】「投げ松明」や巨大な篝火が夜空高く突き刺さるような迫力を「とどろく火柱」と捉えました。初秋の冷気を含み始めた夜気を突き破るような火の熱量と、祭りの圧倒的な躍動感を真正面から詠み切っています。

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