国光
autumn 生活

国光

こっこう

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意味・由来

「国光(こっこう)」は、明治時代にアメリカから日本に導入されたリンゴの品種です。かつては「紅玉(こうぎょく)」と並び、日本のリンゴ栽培の二大巨頭として広く親しまれていました。非常に果肉が硬く、貯蔵性に優れているのが特徴で、冬から翌春にかけての貴重な果物として重宝されました。現在では「ふじ」などの甘く柔らかい品種に押され、市場で見かけることは少なくなりましたが、昭和の時代を象徴する懐かしいリンゴとして、俳句の世界では今なお愛されている晩秋の季語です。

この季語で詠むコツ

国光を詠む際には、その最大の特徴である「硬さ」や「素朴な酸味」、そしてどこか懐かしい「昭和のノスタルジー」を意識すると良いでしょう。現代の瑞々しく甘いリンゴとは異なり、がっしりとした手応えや、ナイフを入れるときの抵抗感、齧ったときの鈍い音などを五感を使って描写すると、国光ならではの個性が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作・触覚を表す言葉: 齧る(かじる)、剥く(むく)、硬し、重し、ナイフ、刃
  • 生活の情景: 机の上、手のひら、昭和、籠(かご)、日差し、暖炉
  • 色彩や質感: 暗赤色、鈍き光、無骨、堅実

国光」の俳句例 (3件)

国光の一個に足るや机の上
高浜虚子【現代語訳】机の上に国光がただ一つ置いてある、それだけで私の心は十分に満たされていることよ。【鑑賞】机の上に置かれた一個の国光。その素朴で飾らない佇まいと、ずっしりとした存在感を捉えた一句です。余計なものを排除し、一つの果実と向き合う静寂な時間が、国光という硬質なリンゴの個性によって引き締められています。
国光を齧るおのれを疑はず
飯田龍太【現代語訳】国光を力強く齧っている自分の存在や生命力を、私は微塵も疑うことはない。【鑑賞】国光の極めて硬い果肉を「齧る」という行為を通じて、自己の生の実感を力強く肯定した名句です。酸味の強い汁が口に広がる瞬間の感覚が、そのまま生きていることの確信へと直結する、強靭な精神性が表現されています。
国光のややあたたかきを手渡さる
渡辺水巴【現代語訳】人の温もりでほんのりとあたたかくなった国光を、手から手へと手渡された。【鑑賞】国光は本来、冷たくて硬い果実ですが、人から譲り受けたときに感じたかすかな体温に焦点を当てています。冷え込む季節の中で、手渡してくれた人の手の優しさや、そこにある親密な人間関係が、国光の硬い質感との対比で優しく浮かび上がります。

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