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有働亨

うどうとおる

作風・特徴

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代表句 (8件)

桜島煙を絶たず西郷忌
季語: 西郷忌 (autumn)
【現代語訳】西郷隆盛の命日を迎えた今日も、桜島は変わることなく噴煙を上げ続けている。\n【鑑賞】雄大に煙を吐き続ける桜島の姿を、西郷隆盛の豪放な魂や今も生き続けるその情熱に見立てた力強い一句です。鹿児島の自然と英雄の存在感が一体となって迫ってきます。
蝦夷仙入鳴いて夕野のひろごれる
季語: 蝦夷仙入 (autumn)
【現代語訳】蝦夷仙入の鋭い声が響きわたり、夕暮れの野原がどこまでも広大に感じられることだ。 【鑑賞】北国の広々とした原野にエゾセンニュウの個性的な声が響くことで、空間の広がりと夕暮れの静寂が見事に表現されています。
十字架の称賛の日の海の青
季語: 十字架の称讃の祝日 (autumn)
【現代語訳】十字架の称賛の祝日を迎えた今日、目の前に広がる秋の海はどこまでも青く澄みわたっている。 【鑑賞】十字架の称賛の祝日という厳かで崇高な宗教行事の日と、秋の澄み切った海の青さが見事に対比・調和しています。秋晴れの抜けるような青空と海の広がりが、魂の浄化や祈りの清らかさを象徴するような爽やかな名句です。
蟄虫咸俯す書窓の日を惜しみ
季語: 蟄虫咸俯す (autumn)
【現代語訳】虫たちが冬眠の準備に入って潜む頃、書斎の窓から差し込む貴重な秋の日差しを惜しむように過ごしている。【鑑賞】日ごとに短くなっていく秋の陽光への愛惜と、生き物たちが活動を終えていく候気が書窓という静かな空間に集約されています。漢語季語の堅さを日差しの温もりで柔らかく包み込んだ佳句です。
中秋節月餅を切る刃の鈍さ
季語: 中秋節 (autumn)
【現代語訳】中秋節の月餅を切り分ける包丁の手応えが、餡の重みで鈍くずっしりと伝わってくる。\n【鑑賞】月餅のぎっしりと詰まった濃厚な餡に刃を入れる瞬間の、独特の感触を捉えた一句です。「刃の鈍さ」という触覚的表現が、月餅の豊潤な味わいと、秋の夜の深く満ち足りた時間を巧みに伝えています。
南部の火祭富士川の瀬を赤うして
季語: 南部の火祭 (autumn)
【現代語訳】南部の火祭の炎が、富士川の激しい川瀬を赤々と染め上げながら流れてゆく。 【鑑賞】百八基の篝火や松明の火が富士川の白波を朱色に染める壮麗な景を描いています。滔々と流れる大河の冷たさと猛る火の赤さが一枚の絵のように調和し、送り火の持つ哀歓を静かに漂わせています。
遠嶺より百八燈の落ちて来し
季語: 百八たい (autumn)
【現代語訳】はるか遠くの峰から、百八つの松明の火の列がまるで山を滑り落ちるように下りてきたことだ。 【鑑賞】暗闇のなか、遠くの山の稜線から一筋の火の帯が下ってくる光景をダイナミックに捉えた一句です。「落ちて来し」という鋭い把握によって、夜の山の高低差と、火を掲げて山道を下る人々のうねるような動きが鮮烈に浮き彫りにされています。
紅天狗茸小さき死を孕みけり
季語: 紅天狗茸 (autumn)
【現代語訳】紅天狗茸が、その愛らしく小さな傘の中に確実な死を宿して生えていることだ。【鑑賞】手のひらに乗るほどの愛らしい姿の中に、人間の命を容易に奪う猛毒が宿っているという戦慄を、「小さき死を孕みけり」と研ぎ澄まされた言葉で捉えた名句です。美と毒、生と死が一本のキノコの中で交錯する緊迫感が漂います。