籬豆
autumn 生活

籬豆

かきまめ

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意味・由来

「籬豆(かきまめ)」とは、民家などの垣根(籬・まがき)に絡みついて自生、あるいは栽培されている豆類の総称です。主にフジマメ(藤豆)やインゲンマメなどを指し、秋になると白や薄紫の可憐な花を咲かせ、やがて平たい実(莢)を結びます。素朴で家庭的な秋の風景を象徴する季語であり、日本の原風景とも言える親しみやすさと哀愁を帯びた情緒を持っています。

この季語で詠むコツ

籬豆は、豪華できらびやかな植物ではなく、日常生活の背景にある「控えめな美しさ」が特徴です。そのため、華やかに詠むよりも、夕暮れの光、秋の風、そぼ降る雨など、周囲の自然環境や静かな時間経過とともに描写すると、その素朴な風情が引き立ちます。また、実が風に揺れる様子や、花が散る様子など、微細な動きに注目するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

日常生活の静かなひとときを表す言葉や、秋の光を表現する言葉と好相性です。「夕日」「うす曇」「風(野分など)」「庵」「雨」「露」「こぼるる」といった、はかなさや静けさを伴う名詞や動詞を取り合わせることで、籬豆の持つひなびた味わいが一層際立ちます。

籬豆」の俳句例 (3件)

籬豆の花や夕日のうす曇
与謝蕪村【現代語訳】垣根に絡みつく籬豆の花が咲いている。折しも夕暮れ時、空にはうっすらと雲が広がり、淡い夕光が花を静かに照らしている。【鑑賞】蕪村らしい絵画的な一句です。はっきりとした強烈な夕日ではなく、「うす曇」の柔らかな光の中に籬豆の可憐な花が浮かび上がる様子が、繊細な色彩感覚で美しく捉えられています。
籬豆の実に吹きおこる野分かな
正岡子規【現代語訳】垣根に実った籬豆のさやに、激しい秋の嵐(野分)がにわかに吹きつけて、激しく揺さぶっていることよ。【鑑賞】静かな日常の象徴である籬豆が、激しい「野分」という自然の猛威に晒されて揺れ動く様子を写生した句です。静と動のコントラストが、秋の深まりと自然の厳しさを生々しく伝えています。
籬豆の花をこぼすな庵の雨
小林一茶【現代語訳】質素な庵の垣根に咲く籬豆の花よ、どうかこの雨よ、激しく降ってこの愛らしい花を散らしてしまわないでおくれ。【鑑賞】一茶の優しく細やかな眼差しが感じられる一句です。自らの貧しい暮らしの傍らに寄り添うように咲く小さな花を愛おしみ、雨に対して「こぼすな(散らすな)」と優しく語りかける擬人的な表現が、微笑ましくも温かい余韻を残します。

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