狐花
autumn 植物

狐花

きつねばな

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意味・由来

「狐花(きつねばな)」は、秋の彼岸の頃に鮮烈な赤い花を咲かせる「彼岸花(ヒガンバナ)」や「曼珠沙華(マンジュシャゲ)」の異称です。この花には毒があることや、葉がない状態で突然茎が伸びて花を咲かせるという生態から、「狐に化かされたような不思議な花」としてこの名がついたとされています。また、花の形が狐の剃刀に似ていることや、その怪しげな美しさが狐の霊力を連想させることも由来の一説です。

この季語で詠むコツ

「彼岸花」や「曼珠沙華」と呼ぶのに比べ、「狐花」という言葉には日本の民話やおとぎ話のような、土着的で少し不気味な世界観が漂います。単に赤い花を美しく描写するだけでなく、背後に広がる怪しげな雰囲気、自然の持つ神秘や寂寥感、あるいは日常の裏側にある「あわい(境界)」を意識して詠むと、この季語の個性を存分に引き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間や光: 「夕闇」「薄暮」「日暮れ」「狐雨(天気雨)」
  • 場所の気配: 「畦道」「墓地」「野仏」「古寺」「裏山」
  • 動きや感覚: 「燃える」「化かす」「灯る」「消え入る」

狐花」の俳句例 (3件)

狐花咲きそろひたる地獄かな
柴田白葉女【現代語訳】狐花が一面に咲きそろっている様子は、まるで地獄の光景のようである。【鑑賞】「地獄」という強い言葉を使い、見渡す限りの赤で埋め尽くされた不気味なほどの美しさを表現しています。彼岸に咲くこの花が持つ、あの世とこの世の境界線を思わせる妖艶な魅力をストレートに捉えた一句です。
狐花折ればなみだのつぶてかな
飯田蛇笏【現代語訳】狐花をぽきりと折ると、まるで涙のつぶてが飛び散るかのようである。【鑑賞】蛇笏の代表作の一つ。毒を持ち、どこか不吉な美しさをたたえる狐花。その茎を折った瞬間に飛び散る汁や強い感触を「なみだのつぶて」と言い留めました。生の瑞々しさと、死や哀愁を予感させる緊迫感が同居した名句です。
狐花咲いて狐の通ひ路か
川端茅舎【現代語訳】狐花があちこちに咲いている。ここは狐たちの通り道なのだろうか。【鑑賞】「狐花」という名前から着想を得て、まるでおとぎ話の一場面のようなファンタジーの光景を描いています。どこか寂しげな秋の野山でありながら、ひょっこりと狐が現れそうなユーモラスで怪しげな楽しさを含んだ名作です。

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