懸崖菊
autumn 植物

懸崖菊

けんがいぎく

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意味・由来

懸崖菊(けんがいぎく)とは、菊の栽培技法のひとつで、断崖絶壁から垂れ下がって自生する樹木の姿を模して仕立てられた菊のことです。主に小菊を用い、一本の株から無数の小枝を出させて鉢の前方へ長く垂れ下がらせ、一面に花を密生させます。菊花展や寺社の境内、名園などで秋を彩る代表的な展示物であり、人の手による丹精込めた仕立ての技と、自然の滝や崖を思わせる豪快な美しさが融合した秋の季語です。

この季語で詠むコツ

単に「菊」と詠むのとは異なり、懸崖菊ならではの「垂れ下がるダイナミックな形」や「密集した花の重み・量感」に着目するのがポイントです。また、菊花展の賑わいや、秋の静かな日差し、鉢が置かれた台座・背景との対比などを捉えると、情景が鮮明になります。人工的な造形美と植物の瑞々しい生命力のせめぎ合いを描くのも面白いアプローチです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚・形状を表す語:滝、崖、重し、反る、垂る、零る(こぼる)
  • 場所・空間を表す語:菊花展、花壇、寺社、石段、軒先、日和
  • 質感・状態を表す語:絢爛、密、しづか、傾く

懸崖菊」の俳句例 (3件)

懸崖の菊垂れ尽し咲き尽す
川端茅舎【現代語訳】崖から垂れ下がるように仕立てられた菊が、これ以上ないほど枝垂れ、咲き誇っていることだ。【鑑賞】「垂れ尽し咲き尽す」という畳み掛けるような表現が、生命力の極致と人工の造形美が見事に結実した懸崖菊の迫力を余すところなく伝えています。
懸崖の菊の重たき日和かな
久保田万太郎【現代語訳】懸崖菊のびっしりと咲いた花房が重たげに見える、しっとりとした秋晴れの日であるよ。【鑑賞】菊の花の密度の濃さと、穏やかながらもどこか静けさと物憂さを孕んだ秋の日差しが響き合っています。
懸崖の菊垂れて滝なせりけり
富安風生【現代語訳】懸崖菊が見事に垂れ下がり、まるで黄金の滝が流れ落ちているかのようだ。【鑑賞】懸崖仕立ての流れるような美しさを滝に見立てた、明快でダイナミックな一句です。

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