兜花
autumn 植物

兜花

かぶとばな

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意味・由来

「兜花(かぶとばな)」は、キンポウゲ科の多年草である「トリカブト(鳥兜)」の花を指す秋の季語です。舞楽の奏者が頭に被る「鳥兜」に花の形が似ていることからこの名がつきました。山地の木陰や湿った場所に自生し、秋になると独特な兜状の深い紫色の花を咲かせます。非常に美しい花を咲かせる一方で、植物全体に極めて強い毒(アコニチンなど)を持つことで知られており、その「優美な姿」と「恐るべき毒」という劇的な二面性が、古来より人々に強い印象を与えてきました。

この季語で詠むコツ

兜花を詠む際には、その独特な「紫の色彩」と「緊迫感のある背景」を意識すると効果的です。単に美しい花として捉えるのではなく、この花が自生する薄暗い深山や、冷たい霧が立ち込める山路といった、少し寂涼とした自然環境と取り合わせることで、花が持つ妖艶さや神秘的な雰囲気を引き出すことができます。また、毒という隠された属性が醸し出す、どこか危険で張り詰めた空気感を漂わせるのも良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 山の気象・情景: 「霧(きり)」「雨」「夕闇(ゆうやみ)」「暮色(ぼしょく)」「谷風」
  • 静寂や孤高を表す言葉: 「しづか」「深山(みやま)」「無人」「仏」
  • 五感や色彩に働きかける言葉: 「紫」「冷たき」「濡るる」「毒」

兜花」の俳句例 (3件)

鳥兜咲くや仏のなき山に
川端茅舎【現代語訳】鳥兜(兜花)の花が、まるで仏の慈悲も届かないような荒涼とした寂しい山奥に、ひっそりと、しかし毅然と咲いていることよ。 【鑑賞】猛毒を持つ鳥兜が、人の気配のない深山に群生する様子を「仏のなき山」と表現しました。自然の厳しさと、その中で孤高に美しく咲く花の姿を、茅舎ならではの宗教的で研ぎ澄まされた感性によって神秘的に描き出しています。
兜花しづかに暮るる山路かな
原石鼎【現代語訳】兜花が咲いている山道に、静かに夕暮れが訪れていくことよ。 【鑑賞】薄暗くなり始めた山路の中で、兜花の独特な深い紫色の花が、静まり返った空気の中にぽつりと浮かび上がっている情景です。静寂とほの暗さの中に、花の持つ妖しい美しさと、そこはかとない自然の寂寥感が漂っています。
兜花に山の雨くる暮色かな
大野林火【現代語訳】兜花が咲くあたりに、山特有の冷たい雨が降りだしてくる、その寂しい夕暮れの気配よ。 【鑑賞】山の天気の急変によって、薄紫の兜花に冷たい雨が降り注ぐ様子を描いています。「暮色」という言葉が、雨に濡れる兜花の怪しげな美しさをさらに引き立て、重厚でどこか哀愁を帯びた一瞬を切り取っています。

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