若冲忌

若冲忌

じゃくちゅうき

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意味・由来

「若冲忌(じゃくちゅうき)」は、江戸時代中期に活躍した異色の天才画家・伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の忌日です。陰暦9月10日(現在では10月頃)にあたり、仲秋・晩秋の季語として用いられます。 京都の錦小路の青物問屋に生まれた若冲は、鶏をはじめとする動植物を驚異的な細密描写と鮮烈な色彩(極彩色)、大胆な構図で描き「奇想の画家」と称されました。晩年は京都深草の石峰寺(せきほうじ)に隠棲し、五百羅漢像の制作などに力を注ぎ、寛政12年(1800年)9月10日に85歳で没しました。若冲の生み出した生命力あふれる絵画世界やその生き方を偲んで詠まれます。

この季語で詠むコツ

若冲忌を詠む際は、彼の代表的な画題である「鶏(軍鶏・雄鶏)」や「動植物」、またその独特な「色彩感覚(極彩色・金箔・墨の濃淡)」を意識すると臨場感が出ます。 単に忌日を悼むだけでなく、身近な生き物の眼差しや羽の輝き、あるいは秋の澄んだ空気や京都の寺社の風景と取り合わせることで、若冲の絵画が持つ妖しいまでの美しさや迫力を句に宿すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動植物:鶏、羽、軍鶏、百合、芭蕉、蔬菜(野菜)
  • 色彩・美術:極彩色、朱、群青、墨、画筆、絵具
  • 土地・情景:石峰寺、相国寺、錦市場、京の秋、秋晴、秋霖

若冲忌」の俳句例 (3件)

若冲忌鶏の眼のただならぬ
長谷川櫂【現代語訳】若冲忌の今日、ふと見つめた鶏の眼は、ただ事ではない異様な光を宿している。 【鑑賞】伊藤若冲の代名詞ともいえる「鶏」に焦点を当てた一句です。若冲の描く鶏は、瞳に宿る執念や生命力が鬼気迫るものとして有名です。目の前の生きた鶏の眼差しに、若冲が捉えようとした生命の深淵を重ね合わせています。
若冲忌錦の鳥の立ちあがる
鍵和田秞子【現代語訳】若冲の忌日に、錦のように華やかに彩られた鳥が、いまにも絵の中から立ち上がってくるようだ。 【鑑賞】若冲の極彩色で細密な動植物画を連想させる華麗な句です。「錦」は若冲の生家があった京都・錦小路を暗示するとともに、豪華絢爛な羽の色を表現しています。平面の絵画から鳥が命を吹き込まれて動き出すような迫力を描いています。
若冲忌鶏の首ふりたるも
有馬朗人【現代語訳】若冲忌である今日も、庭の鶏がきょろりと首を振る仕草を見せていることよ。 【鑑賞】若冲が自宅の庭で何羽も飼い、何年も観察し続けたという鶏の日常的な一瞬の動きを捉えています。「首ふりたるも」という何気ないスケッチの中に、若冲が愛し見つめ続けた動植物の愛嬌と生の息吹が穏やかに表現されています。

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