一遍忌

一遍忌

いっぺんき

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意味・由来\n一遍忌(いっぺんき)は、鎌倉時代中期の僧で時宗の開祖である一遍上人(遊行上人)の忌日です。旧暦の8月23日(現在の9月下旬頃)にあたり、秋の季語として扱われます。一遍は全国を行脚して民衆に念仏の札を配り(賦算)、鉦(かね)や太鼓を打ち鳴らしながら踊る「踊り念仏」を広めました。持ち物を一切捨て去り、旅先で亡くなった清貧・無一物の生涯は、後の芭蕉をはじめとする漂泊の文人たちにも深い影響を与えました。\n\n### この季語で詠むコツ\n一遍上人の生涯を象徴する「旅」「踊り念仏」「鉦の音」「無一物(捨てること)」といった情景や心象と響き合わせるのがポイントです。秋の澄んだ月光や吹き抜ける涼風、旅路の寂寥感などと取り合わせることで、一遍の求道的な精神性や、どこか哀切を帯びた秋の情緒を深めることができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・音に関する言葉(鉦の音、念仏、草鞋の音、風の音)\n・旅や遊行を連想させる言葉(草鞋、旅笠、杖、道、夕暮れ)\n・秋の澄んだ情景(名月、秋風、夕波、薄、野原)

一遍忌」の俳句例 (3件)

旅笠のほつれも秋の一遍忌
長谷川零余子【現代語訳】使い古した旅笠の縁がほつれているのも、秋の一遍忌の日にふさわしく感じられることだ。\n【鑑賞】生涯を旅路に捧げた一遍上人を偲びつつ、身の回りの旅道具の傷みに目を留めています。旅笠のほつれという具象に、清貧に生きた上人への敬慕と秋の哀愁が滲み出ています。
一遍忌鉦たたきつゝ通りけり
村上鬼城【現代語訳】一遍上人の忌日の今日、鉦を打ち鳴らしながら念仏を唱えて通り過ぎていったことだ。\n【鑑賞】耳に響く鉦の金属的な音と、一遍忌という季語が鮮やかに結びついています。通り過ぎていく鉦の音の余韻が、秋の空気の澄み切った静けさと漂泊の風情を際立たせています。
一遍忌砂ふみならす遊行寺
渡辺水巴【現代語訳】一遍忌を迎えた時宗総本山の遊行寺で、参詣の人々が境内の砂を踏み鳴らして歩いている。\n【鑑賞】遊行寺(神奈川県藤沢市)の境内の砂を踏む乾いた足音に着目した句です。賑わいの中にもどこか素朴で清らかな秋の一日が、聴覚を通じて生き生きと描き出されています。

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