秋の峯

秋の峯

あきのみね

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意味・由来

「秋の峯(あきのみね)」とは、秋の澄み渡った大気の中にくっきりと聳え立つ山々の峰や稜線のことを指す季語です。夏場の鬱蒼とした緑や入道雲に覆われていた山容から一転し、湿度が下がって秋晴れの空が広がると、山肌の起伏や岩肌、色づき始めた木々の様子が遠くからでも鮮明に見渡せるようになります。その清澄で凛とした佇まいや、どこか静寂と寂寥を帯びた雄大さに着目した季語です。

この季語で詠むコツ

秋ならではの「空気の透明感」と「峰の鋭い輪郭」を意識して詠むのがポイントです。単に山が大きいと詠むのではなく、刻々と移ろう光と影、山頂をかすめる白雲、あるいは夕暮れ時の残照など、光景の陰影や鮮やかさを捉えると情景が立ち上がります。また、遠く離れた場所から仰ぎ見る視線や、旅情・孤高の心境と重ね合わせることで、句に深みが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・光の描写:「紺碧」「夕茜」「白雲」「影」「日ざし」 ・質感や動作:「聳つ」「抜く」「晴れわたる」「陰る」「払ふ」 ・旅や静寂の風情:「遠音」「古刹」「野道」「旅人の影」

秋の峯」の俳句例 (3件)

雲を抜く幾十峰や秋の峯
飯田蛇笏【現代語訳】幾重にも連なる雲を突き抜けて、幾十もの険しい峰々が澄み切った秋空にそびえ立っていることだ。 【鑑賞】甲斐の山懐で暮らした蛇笏ならではの、圧倒的な山岳の雄大さと清澄さを詠んだ名句です。幾重にも重なる雲の切れ間から次々と鋭い峰が顔を出すダイナミックな構図に、秋の気品の高さと厳しさが凝縮されています。
朝風に吹き払はれて秋の峯
正岡子規【現代語訳】心地よい朝の風に霧や雲が吹き払われ、くっきりと清々しい秋の山の峰が現れた。 【鑑賞】夜の間に立ち込めていた朝霧が風によって瞬く間に晴れ渡り、目の前に鮮烈な峰々が現れる劇的な瞬間を写生した一句です。視界が一気に開ける爽快感と、秋の朝の凛とした冷気が読者にもストレートに伝わってきます。
西行の草鞋もかかれ秋の峯
与謝蕪村【現代語訳】かつてこの険しい山道を旅した西行法師の草鞋も、どこかの枝に掛けられているのだろうか、この秋の峰のたたずまいを見ていると。 【鑑賞】澄み切った秋の峰の佇まいに、漂泊の歌人・西行の面影を重ね合わせた蕪村らしいロマンと敬慕の念に満ちた句です。「草鞋がかかっているかもしれない」という絵画的かつ詩的な虚構が、秋の山の静けさと幽玄さを際立たせています。

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