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「秋」は立秋(8月8日頃)から立冬の前日(11月6日頃)までの約3か月間を指す、三秋を通じた大季語です。草木が実を結んで葉を落とし、空気が澄み渡って寒さへと向かう季節であり、古代から日本人の情緒を深く揺さぶってきました。古語の「飽き(満ち足りる、実る)」や「明き(空が澄んで明るい)」が語源とも言われ、豊かな収穫の喜びと、冬に向かう寂寥感・孤独感という相反する情趣を併せ持つのが特徴です。
「秋」という言葉そのものは抽象的で非常に大きな広がりを持っています。そのため、単に「秋である」と説明するのではなく、視覚・聴覚・触覚などの五感を通して具体化することが大切です。例えば、澄んだ空の青さ、冷ややかになった風の感触、夕暮れの寂しさなど、自分自身が「秋」を実感した具体的な場面や心の動きと結びつけると、季語が生き生きと働き出します。
・光や空模様を表す言葉(日ざし、夕暮、夜気、澄む、高し) ・心情や感覚を表す言葉(深し、寂し、訪ぬ、哀し、静けさ) ・日々の暮らしの動作(灯す、読む、歩む、語らふ) 実景を淡々と描写しながらも、背景に漂う哀愁や静寂を醸し出す言葉と調和します。
暗室の
陰画の端の
秋愁ひ
秋来ぬと
便りは街の
梢より
吾も世も
秋を抱ける
明日かな
秋寂や
夜汽車の映す
川あかり
日高屋の
ホストの朝や
秋愁
手のひらの
抜糸済みたる
秋の底
赤染まる
瀬戸の灯台
秋愁
午後のお茶
ひとり点前や
秋愁ひ
秋愁ひ
柱時計の
ねぢの錆
秋愁を
心の灯とす
息込みぞ
秋の膳
カレイの煮付け
出汁染みて
美しき
碧の玻璃なる
秋の酒
手に和菓子
口ほどけゆく
秋を編み
喉うるおう
コーンスープや
秋の湯気
手の甲に
クリーム白さ
秋に消え
秋の灯の
駅舎に一人
傘をさす