月夜茸

月夜茸

つきよたけ

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意味・由来

月夜茸(つきよたけ)は、秋にブナなどの広葉樹の枯れ木に重なり合って群生するキシメジ科の毒きのこです。その最大の特徴は、夜間になるとヒダの部分が青白くぼんやりと燐光を放つことです。月夜の晩でも光って見えることからこの名がつけられました。古くからヒラタケやシイタケと間違えて誤食・中毒する事故が多いことでも知られ、その美しく妖しい光と毒性から、深山の神秘や怪しさを象徴する季語として親しまれています。

この季語で詠むコツ

月夜茸を詠む際は、光そのものだけでなく「闇の深さ」や「静けさ」を意識すると効果的です。人工的な明るさとは異なる、淡く青白い光が醸し出す幽玄さや妖しさ、あるいは山深い森の冷気・孤独感を切り取ってみましょう。また、美しい光を放ちながらも猛毒を持つという二面性(魔性や危うさ)に着目して心情を仮託するのも深みを生むアプローチです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・明暗:「闇」「青火」「燐光」「仄か」「木霊」 ・環境・場所:「ブナの森」「深山」「苔」「朽木」「倒木」 ・触覚・気配:「露」「冷気」「湿り」「滴り」「しじま」

月夜茸」の俳句例 (3件)

毒茸の光るよといふ月夜茸
山口青邨【現代語訳】「あれが光るという毒きのこですよ」と人が言う、その月夜茸であることよ。 【鑑賞】毒きのこが夜に光るという神秘的で怪異な現象を、「〜といふ」と人の語り口を交えて素直に描写しています。日常の言葉遣いの中に、深山の暗闇で青白く輝く月夜茸と対面したときの驚きと静かな畏怖が込められています。
月夜茸ともして闇のふかかりき
及川貞【現代語訳】月夜茸が青白い光を灯すことで、かえって周りの森の闇の深さが際立っていた。 【鑑賞】わずかな燐光が点ることで、広大で濃密な山の闇がくっきりと浮かび上がってくる様子を捉えています。光を描くことで闇そのものの深遠さと山の静寂を表現した、コントラストの鮮やかな秀句です。
月夜茸死ねば青き火となりなむ
角川春樹【現代語訳】月夜茸の光を見ていると、自分が死んだ後にはこのような青い火になるのだろうかと思われる。 【鑑賞】月夜茸の放つ冷ややかで妖しい燐光に、自らの魂や死後の炎を重ね合わせた情念の一句です。毒きのこが持つ死の匂いと神秘的な美しさが、作者の鋭い死生観と見事に溶け合っています。

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