月祭る

月祭る

つきまつる

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意味・由来

「月祭る(つきまつる)」とは、旧暦八月十五夜(中秋の名月)や九月十三夜(後の月)に、月に供え物をして祀り、農作物の収穫に感謝する習俗を指す季語です。単に美しい月を鑑賞する「月見」と比べて、信仰的・儀礼的な色彩や、生活に根ざした素朴な祈りのニュアンスが強く含まれます。縁側や庭に祭壇を設け、ススキの花を挿し、月見団子や里芋、枝豆、栗、新酒などを神饌として供えて月を拝む、日本古来の豊かな風習が背景にあります。

この季語で詠むコツ

夜空に輝く月そのものの描写だけでなく、「月を迎えて祀る人々の営み」に焦点を当てるのがポイントです。供え物を準備する台所の手元、三方に盛られた団子や土のついた里芋、供え物を前に手を合わせる家族の敬虔な姿などを捉えると、生活感と情感が宿ります。「月」という天体を描きながらも、地上の静かな賑わいや祈りの空気をすくい取ることで、温かみのある句が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・供え物の具象:団子、里芋、枝豆、栗、三方、神酒、芒(ススキ) ・場所や道具:縁側、土間、庭、筵(むしろ)、折敷、灯火 ・動詞や心情:供ふ(そなふ)、拝む、灯す、洗ふ、感謝、敬虔

月祭る」の俳句例 (3件)

月祭る膳にのせたる生魚かな
池西言水【現代語訳】月を祀る供物膳の上に、獲れたばかりの生の魚が供えられていることよ。 【鑑賞】団子や芋などの畑の収穫物だけでなく、海や川の幸である生魚が堂々と供えられている様子に、土地の風習と自然の恵みへの純朴な感謝が表れています。生魚の鱗に反射する月光を思わせる、素朴で力強い生活の一幕が切り取られています。
月祭る芋の乾かぬむしろかな
黒柳召波【現代語訳】月を祀るために洗った里芋が、筵の上でまだ濡れて乾いていないことよ。 【鑑賞】中秋の名月は別名「芋名月」とも呼ばれ、里芋を供えるのが習わしです。泥を洗い落とし、筵に広げられた芋がまだ濡れている様子から、今宵の月祭りに向けていそいそと準備を進める農村の息遣いが瑞々しく伝わってきます。
月祭る手影あらはに灯しけり
阿部みどり女【現代語訳】月を祀るための灯りを点けると、その人の手の影がくっきりと浮かび上がった。 【鑑賞】月を拝むために灯りをともした瞬間、暗がりの中に手の影が鮮やかに浮かび上がる様子を捉えた静謐で美しい一句です。月を崇める人の手のしぐさそのものに敬虔な祈りが宿り、神聖な夜の雰囲気を繊細に表現しています。

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