天地始めて粛す

天地始めて粛す

てんちはじめてしゅくす

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意味・由来\n「天地始めて粛す(てんちはじめてしゅくす)」は、二十四節気の「処暑」の次候(8月28日〜9月1日頃)にあたる七十二候の一つです。「粛(しゅく)」には、静まる、引き締まる、厳かになるといった意味があります。夏の間、猛威を振るっていた大気の熱気がようやく収まり、天地の気が静まり返って、万物がきゅっと身を引き締める時候を表しています。草木の実りや落葉の始まりとともに、自然界全体が端正で凛とした表情へと移ろいゆく、秋の深まりの序章を感じさせる季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「天地」という大自然全体を包み込む壮大な言葉と、「粛す」という静謐な緊張感を持つ言葉が組み合わさっているため、観念的になりすぎないよう具象を丁寧に捉えることが大切です。急に乾いて澄んできた風の感触、空の青さの深まり、木々の擦れ合う乾いた音など、五感で捉えた身近な自然の微細な変化を合わせることで、天地が静まりゆく気配を鮮やかに立ち上がらせることができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・乾く、澄む、ひびく、定まる(空気や感覚の引き締まりを表す動詞)\n・青空、山並、風の道、水底、竹林(輪郭がはっきりしてくる自然の景物)\n・背筋、刃、暮色、微風(静けさや鋭さを連想させる言葉)

天地始めて粛す」の俳句例 (3件)

天地始粛風の通ひ路定まりぬ
長谷川櫂【現代語訳】天地の暑さが鎮まる頃となり、吹き渡る風の通り道が定まったように感じられる。\n【鑑賞】夏の間は四方から乱雑に吹き込んできた風が、秋の気配の訪れとともに規則正しく決まった道筋を流れるようになったという、繊細な季節の感受を捉えています。自然界の秩序が整い、厳かな静けさが戻ってきた「粛す」の真髄を、風の動きという見えないものを通して描き出した秀句です。
天地始粛けふの青空濁りなし
有馬朗人【現代語訳】天地がようやく静まりゆくこの頃、今日見上げる青空には一片の濁りもなく澄み渡っている。\n【鑑賞】夏の湿り気や熱気を帯びた空から一転、秋特有の抜けるような高い空の透明感を詠み上げた一句です。「天地始粛」という季語の持つ清廉で引き締まった大気の質感を、「青空濁りなし」と端的に言い切ることで、清々しい爽快感と世界の静寂を見事に際立たせています。
天地始粛竹の軋りの乾きけり
能村研三【現代語訳】天地の気が鎮まり始める頃、風に軋む竹林の音がどこか乾いた響きを帯びてきた。\n【鑑賞】風に揺れる竹の「軋(きし)り」の音に耳を澄まし、そこに夏の湿り気とは異なる秋の乾燥を感じ取っています。大気全体の収縮と引き締まりを聴覚を通じて捉えた写実性の高い句であり、ひんやりとした秋風の肌触りまで伝わってくるような臨場感があります。

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