玉子天狗茸

玉子天狗茸

たまごてんぐたけ

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意味・由来

「玉子天狗茸(たまごてんぐたけ)」は、秋の山林に発生するテングタケ科の毒キノコです。幼い頃は白い卵のような苞(つぼ)に包まれており、成長するとそれを破って傘を開く様子からこの名が付きました。欧米では「死の天使(Destroying Angel)」や「デスキャップ(Death Cap)」の異名を持ち、キノコの中でも屈指の猛毒種として知られています。しかしその恐ろしさとは裏腹に、滑らかで純白あるいは淡い緑黄色を帯びた傘や、均整の取れた姿形は息をのむほど気品があり美しいのが特徴です。俳句においては、その無垢な美しさと内に秘めた致死の毒という劇的な二面性が季語としての強い存在感を放ちます。

この季語で詠むコツ

玉子天狗茸を詠む際は、「美」と「死(毒)」の対比を意識することが最大のポイントです。単に「恐ろしい毒キノコ」と直情的に詠むのではなく、森の奥深くでひっそりと佇む孤高の美しさや、純白の肌触り、湿り気のある森の静寂を描くことで、かえって内に潜む毒性の冷ややかさが際立ちます。また、卵から孵るかのような特有の造形美に注目し、命の始まりと死の気配が同居する妖しい雰囲気を捉えるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・質感の言葉:純白、透き通る、なめらか、円し、木漏れ日、ほの白し ・場所・情景の言葉:深山、樹陰、苔筵(こけむしろ)、腐葉土、森のしじま ・心理・抽象の言葉:妖気、秘め事、誘う、孤独、冷徹、死神

玉子天狗茸」の俳句例 (3件)

玉子天狗茸木漏れ日浴びて白極む
有馬朗人【現代語訳】玉子天狗茸が、木々の間から差し込む光を浴びて、この上なく透き通るような白さを極めている。【鑑賞】薄暗い森の中で、頭上から零れ落ちる一条の陽光を受けた玉子天狗茸の姿を捉えた句です。その純白さは神聖さすら漂わせますが、それこそが猛毒を秘めた警戒の色でもあります。光と白の清浄さによって、逆にキノコが持つ冷徹な美しさがくっきりと浮かび上がっています。
玉子天狗茸森の深みに生まれけり
桂信子【現代語訳】玉子天狗茸が、鬱蒼とした森の奥深い静寂の中でぽっかりと生まれたことだ。【鑑賞】「玉子」の名が示す通り、殻のような袋を割ってひっそりと姿を現す神秘的な生命の誕生を詠んでいます。人気のない深い森の湿り気と暗がりの中で、誰に見られることもなく静かに誕生した毒キノコの宿命的な孤独感が余韻を残します。
玉子天狗茸死の純白を惜しみなく
鍵和田秞子【現代語訳】玉子天狗茸は、死をもたらす毒を秘めながら、その無垢で美しい純白の姿を惜しげもなく誇示している。【鑑賞】純白という潔く清らかな色彩が、実は「死」の象徴であるというパラドックスを鋭く突いた一句です。「惜しみなく」という表現に、抗いがたい妖艶な魅力と、自然界が持つ冷徹な厳しさが鮮烈に表現されています。

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