高嶺蜻蛉

高嶺蜻蛉

たかねとんぼ

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意味・由来

高嶺蜻蛉(タカネトンボ)は、エゾトンボ科に属する中型のトンボで、主に本州中部以北の高山や亜高山帯の湿原、池塘(ちとう)周辺に生息します。体全体が美しい金属光沢を帯びた暗緑色をしており、澄んだ高山の光を受けてキラリと輝く姿が印象的です。平地で見かける赤とんぼ等とは異なり、厳しくも清冽な高嶺の冷気や雄大な自然景観を象徴する秋の季語として愛されています。

この季語で詠むコツ

高山特有の張り詰めた空気感や、刻々と移ろう山の天候、吹き抜ける強風との対比を描くのがポイントです。吹き上げる風に抗って力強く飛ぶ姿や、湿原の静寂、鏡のような池の水面をかすめる瞬間などを捉えることで、高嶺蜻蛉ならではの野性味と気品を引き出すことができます。標高の高い場所ならではの「青空」「雲」「冷気」「岩肌」といった要素と響き合わせましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 地形・環境:池塘(ちとう)、湿原、岩壁、稜線、ハイマツ
  • 気象・光景:白雲、山風、冷気、逆光、霧
  • 動き・描写:かすめ飛ぶ、風を衝く、翅(はね)光らす、静止す

高嶺蜻蛉」の俳句例 (3件)

高嶺蜻蛉風の吹かるるままならず
水原秋櫻子【現代語訳】高嶺蜻蛉は、高山に吹きすさぶ激しい風の吹き流されるままにはなっていない(自らの力で風に抗い飛んでいる)。 【鑑賞】厳しい高山の気象条件下でも力強く生きるタカネトンボの飛翔を捉えた名句。自然の猛威に屈せず凛と飛ぶ小さな命の躍動感が、秋櫻子らしい格調高く澄んだ眼差しで詠み込まれています。
高嶺蜻蛉池塘の青を深くせり
堀口星眠【現代語訳】高嶺蜻蛉が水面をかすめて飛ぶことで、高原の池塘の青さがよりいっそう深く鮮やかに感じられる。 【鑑賞】高山植物や山の自然を数多く詠んだ星眠による一句。金属光沢を持つタカネトンボと、青空を映し出す池塘の静謐な青が見事な色彩のハーモニーを生み出しており、澄み切った山の静けさが伝わります。
高嶺蜻蛉雲の切れ間に輝けり
福田甲子雄【現代語訳】湧き立つ山雲のふとした切れ間から日が差し込み、そこを舞う高嶺蜻蛉の体がきらりと輝いた。 【鑑賞】山の天気の急激な変化と、一瞬の光の美しさを捉えた句です。暗緑色のメタリックな翅や胴体が陽光を浴びて一瞬黄金のようにきらめく劇的な情景が、読者の脳裏に鮮やかに浮かび上がります。

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