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堀口星眠

ほりぐちせいみん

作風・特徴

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代表句 (9件)

銀山猿子霧ゆく岳に声澄めり
季語: 銀山猿子 (autumn)
【現代語訳】霧が流れていく高山で、銀山猿子の鳴き声が澄み渡って響いている。 【鑑賞】視界を遮る秋の山霧と、その奥から静かに響いてくる銀山猿子の澄んだ鳴き声の対比が印象的な一句です。高山特有の肌寒い大気と静寂の中で、一羽の鳥の存在感が際立ち、深まりゆく秋の山景を美しく描き出しています。
小紅鶸のこぼるる樺の梢かな
季語: 小紅鶸 (autumn)
【現代語訳】白樺の梢から、小紅鶸たちがまるでこぼれ落ちるように次々と飛び立っていくことよ。【鑑賞】白樺の枝先に群れていた小紅鶸が、一斉に舞い立つ様子を「こぼるる」と表現した視覚的に鮮やかな句です。小鳥たちの軽やかで小さな存在感と、晩秋の明るい白樺林の情景が見事に調和しています。
赤猿子紅濃き胸を張りにけり
季語: 赤猿子 (autumn)
【現代語訳】赤猿子がその濃い紅色の胸を誇らしげに張っている。 【鑑賞】アカマシコの雄の最大の特徴である胸の鮮烈な赤色を真正面から捉えています。小さくも凛とした野鳥の生命力と美しさが際立つ描写です。
大猿子嶺の霧ひくひかりかな
季語: 大猿子 (autumn)
【現代語訳】大猿子がいる尾根の霧が晴れて引いていき、そこに美しい光が差し込んできたことだ。 【鑑賞】冷涼な山の頂で霧が薄れ、光が差した瞬間に大猿子の美しい姿が浮かび上がる劇的な自然の美を捉えています。
島仙入草の雫を払ひ飛ぶ
季語: 島仙入 (autumn)
【現代語訳】島仙入が朝露に濡れた草の雫を振り払うようにして、草むらから飛び立っていった。【鑑賞】草深くに潜む島仙入の一瞬の動的な姿を写生した一句です。朝露の冷たさと鳥の軽やかな動きが、秋の朝の澄み切った空気感を見事に伝えています。
高嶺蜻蛉池塘の青を深くせり
季語: 高嶺蜻蛉 (autumn)
【現代語訳】高嶺蜻蛉が水面をかすめて飛ぶことで、高原の池塘の青さがよりいっそう深く鮮やかに感じられる。 【鑑賞】高山植物や山の自然を数多く詠んだ星眠による一句。金属光沢を持つタカネトンボと、青空を映し出す池塘の静謐な青が見事な色彩のハーモニーを生み出しており、澄み切った山の静けさが伝わります。
聖母祭ミサあづかりて白靴に
季語: 聖母祭 (autumn)
【現代語訳】聖母祭の厳粛なミサに参列し、祈りを終えてふと足元の白靴に目をやる。【鑑賞】盛夏の名残を感じさせる「白靴」の清廉な装いが、マリアを讃える祭の清潔感と見事に調和しています。ミサの祈りを終えた後の静かな心の澄みきりと、晩夏から初秋へと向かう爽やかな風情が身辺の描写から素直に伝わってきます。
爪長鶺鴒飛んで黄色のこしけり
季語: つめなが鶺鴒 (autumn)
【現代語訳】爪長鶺鴒が飛び立ち、その場に鮮やかな黄色の残像だけが残されたようである。\n【鑑賞】つめなが鶺鴒の胸元から腹にかけての美しい黄色い羽色を鮮烈に捉えた一句です。鳥そのものが飛び去ったあとにも、秋の澄んだ空気の中に鮮やかな黄色が幻のように焼き付いているという視覚的余韻が見事に表現されています。
八丈鶇胸あたらしき茜かな
季語: 八丈鶇 (autumn)
【現代語訳】八丈鶇が止まっている。その胸の羽毛は、まるで染めたてのように鮮やかな茜色をしていることよ。【鑑賞】医師でもあった堀口星眠の澄んだ観察眼が光る一句。普通のツグミと異なる八丈鶇の最大の特徴である胸の赤褐色を「胸あたらしき茜」と清新に捉え、北国から渡ってきたばかりの生命のみずみずしさを称えています。