薄散る

薄散る

すすきちる

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意味・由来

「薄散る(すすきちる)」は、秋の深まりとともにススキの穂が枯れ、銀白色の綿毛をつけた種子が風に吹かれて飛び散っていく情景を指す晩秋の季語です。中秋のころに美しく波打っていたススキ(尾花)が、季節の移ろいとともに白くほぐれ、風に吹かれてはかなく散っていく姿には、秋の終わりと冬の訪れを告げる寂寥感と哀愁が色濃く漂います。

この季語で詠むコツ

綿毛が光を受けてきらめきながら風に乗る視覚的な繊細さや、野原全体が枯れ色へと変わっていく荒涼とした空気感を捉えるのがポイントです。単に「枯れた」「散った」と状況を述べるだけでなく、風の強さや夕暮れの傾く陽射し、あるいは旅情や人生の無常観と結びつけることで、句に深い情緒と余韻を生み出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 風・空・光:「夕風」「野分け」「傾く日」「茜空」「木枯し」など
  • 場所・道:「野道」「廃線」「峠」「旅路」「山影」など
  • 情緒を表す言葉:「果て」「ひとすじ」「名残」「暮れかかる」など

薄散る」の俳句例 (3件)

薄散るやただ一筋の馬鈴薯道
寺田寅彦【現代語訳】ススキの穂が風に散る晩秋の野に、ただ一本のジャガイモ畑へ続く道がまっすぐに伸びている。 【鑑賞】北海道などの広大な農地を思わせる風景です。散りゆくススキの寂寥感と、収穫期を過ぎた広漠とした畑道の一筋の遠近感が美しく響き合い、晩秋の静けさと旅情を際立たせています。
薄散るや夕日あふるる草の中
阿部みどり女【現代語訳】ススキの綿毛が散りゆく中、枯れ草の生い茂る野原いっぱいに夕日が満ちあふれている。 【鑑賞】散りゆくススキの寂しさを、溢れんばかりの夕日の黄金色の光で包み込んだ一句です。枯れゆく季節の切なさと、一瞬の光の輝きが見事な対比となって、温かみのある余韻を生んでいます。
薄散るや風に吹かれて行くばかり
松本たかし【現代語訳】ススキの穂が散り乱れ、ただ風の吹くままにどこまでも流れていくことだ。 【鑑賞】風に任せて散り去るススキの綿毛の無心な姿を描写しつつ、自らの人生や心のありようを重ね合わせたような名句です。余計な修辞を削ぎ落とした素直な詠み口が、晩秋の物寂しさをストレートに伝えます。

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