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季語辞典
寺田寅彦
俳
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寺田寅彦
てらだとらひこ
作風・特徴
作風の解説はまだ登録されていません。
代表句 (7件)
夕浪のくだけて白し秋汀
季語: 秋汀 (autumn)
『【現代語訳】夕暮れの波が崩れて白く泡立つ、秋の渚であることよ。 【鑑賞】夕暮れ時の秋の渚に打ち寄せる波の白さが、徐々に薄暗くなっていく周囲の情景と鮮やかな対比を見せています。物理学者でもあった寺田寅彦らしい、自然現象を澄んだ視線で見つめた無駄のない写実的な一句です。』
淋しさに秋炉の灰をならしけり
季語: 秋炉 (autumn)
『【現代語訳】ふと込み上げる寂しさに耐えかねて、秋の炉の灰を火箸で平らにならしていることだ。\n【鑑賞】肌寒さを感じる秋の夜、手持ち無沙汰と人恋しさから無心に灰をいじる動作に、深い哀愁が滲み出ています。日常のさりげない仕草を通して、秋炉の持つ侘しさを巧みに表現した名句です。』
次郎柿食ふや生れし土を忘れ
季語: 次郎柿 (autumn)
『【現代語訳】次郎柿を食べていると、自分が生まれ育った故郷の土地の記憶すら忘れてしまうほど、その味わいに夢中になってしまう。 【鑑賞】物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦の句です。次郎柿の濃厚な甘さと心地よい歯ごたえに没頭するあまり、我を忘れるような感覚を率直に詠み込んでおり、秋の味覚への強い愛着が伝わってきます。』
新胡麻の香にむせびたる夕かな
季語: 新胡麻 (autumn)
『【現代語訳】新胡麻のあまりにも濃厚で香ばしい匂いに、思わずむせるほどであった夕暮れであることよ。 【鑑賞】新胡麻を炒ったり擂ったりした瞬間に立ち上る強烈な香りを「むせびたる」と実感豊かに表現しています。五感を刺激する秋の実りの力強さと、郷愁を誘う夕方の雰囲気が見事に重なっています。』
深秋や机の上に置く時計
季語: 深秋 (autumn)
『【現代語訳】秋もすっかり深まった日、机の上に置いた時計の秒針の音が静かに響いている。【鑑賞】科学者であり随筆家でもあった寺田寅彦らしい、身の回りの日常を捉えた句です。深秋の静けさの中で、机上の時計が時を刻む微かな音や冷たい存在感が際立ち、深まりゆく秋の孤独感や思索の時間を繊細に表現しています。』
筋子買ふて帰りし夜の寒さかな
季語: 筋子 (autumn)
『【現代語訳】筋子を買って家へと帰り着いた夜の、この身にしみる寒さであることよ。 【鑑賞】物理学者であり俳人でもあった寺田寅彦の句。買い求めた筋子の包みを手に帰宅した際、晩秋の冷気が肌に染み渡る感覚を率直に詠んでいます。筋子の濃厚な朱色と、夜の冷え冷えとした空気の対比が鮮やかです。』
薄散るやただ一筋の馬鈴薯道
季語: 薄散る (autumn)
『【現代語訳】ススキの穂が風に散る晩秋の野に、ただ一本のジャガイモ畑へ続く道がまっすぐに伸びている。 【鑑賞】北海道などの広大な農地を思わせる風景です。散りゆくススキの寂寥感と、収穫期を過ぎた広漠とした畑道の一筋の遠近感が美しく響き合い、晩秋の静けさと旅情を際立たせています。』
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