素十忌

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すじゅうき

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意味・由来

「素十忌(すじゅうき)」は、昭和を代表する俳人・高野素十(たかの・すじゅう、1893〜1976年)の10月4日の忌日を指す仲秋の季語です。 高野素十は高浜虚子に師事し、水原秋桜子、山口誓子、阿波野青畝とともに「ホトトギスの4S」と称されました。医学博士(法医学教授)でもあった素十は、事物をどこまでも凝視し、主観や理屈を排してありのままの事実を捉える「純客観写生」を確立しました。虚子から「草の芽の萌え出づるごとき」と絶賛されたその徹底した写生精神を偲び、秋の深まる頃に詠まれます。

この季語で詠むコツ

素十自身が主観を交えずに自然の微細な美を掬い上げた俳人であるため、理屈や大げさな感傷を詠み込むよりも、眼前の風景を静かに、克明に写し取るアプローチが最もよく似合います。庭の片隅、草の葉の露、光の角度など、日常の何気ない細部に焦点を当て、その淡々とした描写の奥に素十への追慕をそっと忍ばせるのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

素十の代表句(蜘蛛の巣、草の芽、露、水引草、空豆など)にちなんだ植物や小動物、自然現象を取り合わせると、追悼句としての奥行きが増します。また、医師・研究者として生きた素十の生涯に思いを馳せ、「顕微鏡」「硝子」「研究室」などの言葉や、秋の澄んだ空気を表す「光」「微動」「澄む」「静けさ」といった言葉とも美しく響き合います。

素十忌」の俳句例 (3件)

素十忌の蜘蛛の囲にあるひかりかな
川崎展宏【現代語訳】素十忌の今日、庭の蜘蛛の巣に静かな秋の光が宿っていることよ。 【鑑賞】素十の代表句「方寸の八方にひびく蜘蛛の陣」などを想起させる「蜘蛛の囲」を取り合わせ、素十の純客観写生の境地と、彼が愛した静謐な自然を鮮やかに捉えて追慕した名句です。
素十忌の野の草の実のいろいろに
細見綾子【現代語訳】高野素十の忌日を迎え、野原には名もなき草の実がさまざまに色づき実を結んでいる。 【鑑賞】素十が得意とした野の草花への細やかな視線を受け継ぐかのように、足元の自然の多様な実りを愛おしんでいます。作為のない素朴な把握の中に、徹底して自然を見つめた素十への温かな敬意が込められています。
素十忌や水引草の花こぼれ
能村登四郎【現代語訳】素十忌の今日、水引草の小さな赤い花が、はらはらと地面にこぼれ落ちている。 【鑑賞】ひっそりと目立たない水引草のこぼれ花に目を留めることで、素十の鋭敏で繊細な写生の眼差しを追体験させてくれます。仲秋の寂寥感とともに、孤高の俳人であった素十への静かな哀悼が静かに滲みます。

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