胙を献ず

胙を献ず

そをけんず

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意味・由来

「胙を献ず(そをけんず)」は、仲秋(旧暦八月の上丁の日)に行われる「釈奠(せきてん/孔子およびその門弟を祀る祭り)」の後に、祭壇に供えた肉(胙=そ)を朝廷や君主に献上した古代の宮廷儀礼に由来する秋の季語です。「胙」とは神仏や先聖に供えた神聖な肉や饌(神饌)を意味し、祭礼が無事に修められたことを報告するとともに、聖人の恩徳や福を分かち合うという意味が込められていました。儒教の礼楽思想と宮廷の伝統が結びついた、非常に格式高く雅やかな儀式季語です。

この季語で詠むコツ

歴史的・古典的な背景を持つ季語であるため、重厚で厳かな雰囲気や、秋の静けさ・澄んだ空気感を意識して詠むのがポイントです。現代では直接目にする機会が少ない儀礼ですが、湯島聖堂などの孔子廟の佇まい、古文書や歴史への思い、あるいは受け継がれてきた伝統儀礼の格式高い風情に焦点を当てると格調高い句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・場所・対象:文廟(孔子廟)、宮居、古儀、庭、殿舎 ・情景・天候:秋風、秋澄む、秋晴、秋深し、雨、寂けし ・心情・様子:厳か、ゆかし、古きを思ふ、うやうやし

胙を献ず」の俳句例 (3件)

胙を献ず文廟秋の雨の中
長谷川零余子【現代語訳】孔子を祀る文廟に秋の雨が静かに降る中、厳かに胙を献ずる儀式が執り行われている。 【鑑賞】しとしとと降る秋雨の静寂が、文廟という神聖な空間の厳粛さを引き立てています。古い伝統儀式である「胙を献ず」の格調高さと、秋雨の湿り気を帯びた空気感が見事に調和した一句です。
胙献ず昔を思ふ秋風に
正岡子規【現代語訳】胙を献ずる古式ゆかしい儀礼に触れ、吹き抜ける秋風の中で往時の栄華や歴史の深さに思いを馳せる。 【鑑賞】古代から受け継がれる宮廷儀礼に、過ぎ去った時代への追慕を重ねています。吹き渡る秋風が時の移ろいを感じさせ、歴史の重みと季節の哀愁が一体となって心に染み入ります。
胙献ず古き儀式の秋の日や
高浜虚子【現代語訳】胙を献ずるという由緒ある古い儀式が、澄み渡る秋の日差しの下で粛々と行われている。 【鑑賞】「古き儀式」と堂々と詠み下すことで、季語「胙を献ず」が持つ格式と歴史性をストレートに伝えています。清らかな秋の光が儀場の厳かな空気を照らし出す、端正で品格ある写生句です。

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