袖黒鶴

袖黒鶴

そでぐろづる

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意味・由来

黒鶴(そでぐろづる)は、ツル科の大型の冬鳥です。シベリア北東部で繁殖し、秋になると越冬のために南下します。日本には鹿児島県出水(いずみ)などの越冬地に、マナヅルやナベヅルの大群に混ざってごく稀に飛来する極めて珍しい鶴です。全身はほぼ純白ですが、翼の先端(初列風切羽)だけが鮮やかな黒色をしており、まるで白い着物の袖口から黒い裏地を覗かせているように見えることからその名が付きました。羽を広げて飛翔した瞬間にだけ鮮明に現れる白と黒の対比が非常に美しく、秋の澄んだ空や初冬の水辺を象徴する優雅な季語です。

この季語で詠むコツ

黒鶴の最大の特徴は、静止しているときはほぼ純白に見え、翼を大きく広げて舞い立ったときにだけ劇的な「黒」が姿を現す視覚的変化にあります。そのため、飛翔の瞬間や風を受ける姿、あるいは大群の中にたった一羽だけ混じる孤高の存在感に焦点を当てると情景が鮮やかに立ち上がります。遠いシベリアの大地から遥かな海を越えてやってきた旅路の長さや、秋から初冬へ移ろう空気の透明感を重ねて詠むのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩を際立たせる語:青空、夕日、初霜、水鏡、白砂
  • 動きや飛翔を表す語:舞ふ、羽搏く(はばたく)、風切る、降り立つ
  • 旅情・情景の語:シベリア、干拓、群れ、遠つ国、潮風

袖黒鶴」の俳句例 (3件)

袖黒鶴一羽まじりて鶴の群
福田蓼汀【現代語訳】無数に集まる鶴の大きな群れの中に、たった一羽だけ袖黒鶴が混ざっている。【鑑賞】大群の中にわずかに混じる珍しい袖黒鶴を見出した瞬間の喜びと驚きをストレートに写生した一句です。数千羽の鶴の中でひときわ目を引く気品と特別感がシンプルかつ鮮やかに伝わってきます。
袖黒鶴水に影置く夕日かな
水原秋櫻子【現代語訳】夕日に照らされる水辺に、袖黒鶴が凛とした美しい影を落としていることだ。【鑑賞】夕暮れ時の水辺の静寂と、夕日に染まる光の中で白い翼と黒い羽先を持つ袖黒鶴が際立つ情景を美しく捉えています。秋櫻子らしい色彩感覚豊かな絵画的描写が光る名句です。
袖黒鶴シベリアの風連れ来しや
有馬朗人【現代語訳】袖黒鶴は、遥かなシベリアの冷たい風を身にまとって連れてやってきたのだろうか。【鑑賞】日本に飛来した袖黒鶴の羽ばたきや立ち姿から、北の大地シベリアの冷涼で雄大な気候を感じ取った一句です。秋の深まりとともに渡ってきた鳥の雄大な旅路に思いを馳せています。

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