花こなぎ

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意味・由来

「花こなぎ」は、水田や沼地、小川のほとりなどに自生するミズアオイ科の一年草「コナギ(小菜葱)」に咲く花のことです。秋の初めから半ばにかけて、青紫色のかれんな六弁花を咲かせます。万葉集にも「小菜葱」「子菜葱」として登場し、古くは若葉が食用(菜)とされていたことから親しまれてきました。稲の成長とともに田の泥深くに茂るため、農家にとっては厄介な水田雑草でもありますが、ハート形の艶やかな葉の根元近くに、ひっそりと隠れるように咲く紫の小花には、奥ゆかしい野趣と独特の風情が漂います。

この季語で詠むコツ

花こなぎは、稲刈り前後の水田や湿地など「水」と「泥」のただなかに咲くのが最大の特徴です。派手やかな秋草とは異なり、葉陰にうずくまるように咲くため、見過ごされがちな小さな美しさに焦点を当てると詩情が深まります。「ひっそりとした佇まい」「水田のぬかるみ」「澄んだ青紫の色彩」を意識し、晩夏から初秋への季節の移ろい、あるいは農村の静かな情景と結びつけて詠むのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・環境・水景を表す語(水田、畦道、泥水、夕水、濁り、水輪) ・色彩・光を表す語(青紫、夕明かり、日の照り、影) ・動作・状態を表す語(隠る、沈む、ひたひた、澄む、畦をゆく)

花こなぎ」の俳句例 (3件)

花こなぎ水に沈みて青きまま
能村登四郎【現代語訳】花こなぎが田の水に沈みながらも、澄んだ青色を失わずに鮮やかに咲いていることだ。【鑑賞】田の水かさが増したのか、水中に浸かりながらも色あせず、清冽な青紫色を保っている花こなぎの姿を捉えた一句です。泥や水に侵されながらも凛として咲く命の強さと、透明感のある色彩美が際立っています。
花こなぎ泥ひたひたと畦に満つ
細見綾子【現代語訳】花こなぎが咲く水田には、ぬかるんだ泥水がひたひたと満ちて畦すれすれまで寄せてきている。【鑑賞】田の泥と水が豊かに満ちている湿潤な田園風景を描き出しています。その泥深い環境にこそ咲く「花こなぎ」の生態を的確に捉え、豊かな自然の湿度と土の匂いが実感として伝わってくる写生句です。
花こなぎ水ある限り咲きつづく
桂信子【現代語訳】花こなぎは、豊かな田の水がある限り、いつまでも咲き続けることだろう。【鑑賞】水田の水に寄り添い、水とともに生きる花こなぎのひたむきな生命力を詠んでいます。平明な言葉遣いの中に、自然の営みに対する深い信頼と愛しさが込められており、しみじみとした情感が余韻を残します。

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