秋懐
autumn 時候

秋懐

しゅうかい

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意味・由来\n「秋懐(しゅうかい)」は、秋の訪れとともに心に湧き起こる、しみじみとした哀愁や、物思い、過去への追憶などを表す季語です。漢詩における「秋思(しゅうし)」と同様に、日が短くなり、草木が枯れていく自然の衰えに、自らの人生や孤独、懐旧の情を重ね合わせる心象を表現しています。単なる感傷ではなく、静かに自己の内面と向き合う、知的で静謐な感情が含まれているのが特徴です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「秋懐」は抽象的な心の動きを示す主観的な季語であるため、言葉だけで「寂しい」と説明するのではなく、身の回りにある具体的な物や光景と取り合わせることが大切です。机の上の様子、光の陰影、あるいはふと耳に入った音など、静かな日常のディテールに「秋懐」を配することで、読者の五感に響く奥行きのある世界を表現できます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 静かな動作・状態:「ともす」「ひらく」「聴く」「佇む」「ふと」\n- 書斎や家の中の静物:「机」「古書」「灯火」「万年筆」「眼鏡」\n- 移ろいゆく自然の描写:「夕暮れ」「暮色」「風の音」「微風」「落ち葉」

秋懐」の俳句例 (3件)

秋懐や墨うるほせる机の上
高浜虚子【現代語訳】秋の物思いに耽る中、ふと机の上を見ると、墨が潤いを含んで黒々と光っている。【鑑賞】虚子らしい平明な写実の句です。「秋懐」という抽象的な情感を、机の上の墨の湿り気という極めて即物的なディテールによって表現しています。静かな書斎で一人、創作に向き合う時間の静謐さと、かすかな哀愁が漂います。
秋懐や水に浮かべる芥の芽
芥川龍之介【現代語訳】秋の寂しさに浸っていると、ふと水面にゴミに混ざって小さな芽が浮かんでいるのが目に留まった。【鑑賞】大正から昭和初期の文豪・芥川龍之介の句。「芥(あくた)」はゴミのことであり、淀んだ水に浮く小さな芽という微細な生への着目が、秋の憂愁と重なり、作者の繊細で傷つきやすい内面を投影しているかのようです。
秋懐や山より落つる水のおと
飯田蛇笏【現代語訳】秋の物思いにふけっていると、遠くの山から流れ落ちてくる水の音が、しみじみと心に響いてくる。【鑑賞】山梨の自然の中で生きた蛇笏ならではの、格調高く自然と合一した句です。寂寞とした秋の空気の中で、澄み切った水の音だけが聞こえてくる様子が、作者の孤独で深い精神性を際立たせています。

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