精霊蜻蛉

精霊蜻蛉

しょうろうとんぼ

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意味・由来

「精霊蜻蛉(しょうろうとんぼ)」とは、主にウスバキトンボ(薄羽黄蜻蛉)の別称で、秋の季語です。旧暦の盆(現在の8月中旬頃)の時期に集団でふわふわと飛ぶ習性があります。古くから、お盆の時期に帰ってくる先祖の霊(精霊)を乗せてくる、あるいは魂そのものが姿を変えたものと信じられてきたことからこの名がつきました。「盆蜻蛉(ぼんとんぼ)」とも呼ばれ、薄く透き通るような翅(はね)と、どこか儚げに空中を漂う姿が特徴です。

この季語で詠むコツ

一般的な「蜻蛉(とんぼ)」が秋の澄んだ空や活発な動きを想起させるのに対し、「精霊蜻蛉」には先祖への追悼、生と死のあわい、盆の哀愁といった情緒が色濃く宿っています。そのため、単に虫の生態を描くだけでなく、夕暮れの光、墓参り、仏壇の灯り、故人を偲ぶ心情などと結びつけると深みが出ます。羽の頼りなさや、留まることなく群れ飛ぶ様子を具体的に捉えるのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や影:「夕影」「夕日」「黄昏」「光の粒」「薄明」 ・お盆や祈りの景:「仏間」「迎え火」「送り火」「線香」「墓道」「提灯」 ・動きや佇まい:「群れ飛ぶ」「とどまらず」「透きとほる」「風に乗り」「漂ふ」

精霊蜻蛉」の俳句例 (3件)

精霊蜻蛉夕影ひくき庭にみち
中村汀女【現代語訳】精霊蜻蛉が、夕日の影が低く長く伸びる庭いっぱいに満ちるように群れ飛んでいる。【鑑賞】お盆の夕暮れ時、庭一面に飛び交う精霊蜻蛉の姿を描いた一句です。傾いた日の光と影のコントラストのなかに、どこか幻想的で懐かしい先祖の気配が満ちているような、静謐で情緒豊かな情景が浮かびます。
精霊蜻蛉とゞまることを知らざりき
相生垣瓜人【現代語訳】精霊蜻蛉は、どこかの一処に留まるということを知らないかのように飛び続けていた。【鑑賞】ウスバキトンボが枝先などにあまり止まらず、風に乗って飛び続ける習性を捉えています。留まることのない飛翔の姿に、現世を束の間訪れてすぐに去ってしまう精霊たちの儚さや不可逆の時の流れを重ね合わせています。
精霊蜻蛉夕日のなかにとどまらず
臼田亜浪【現代語訳】精霊蜻蛉が、沈みゆく夕日の光の中に留まることなく飛び去っていく。【鑑賞】夕日という大きな背景のなかで、一瞬の光を浴びながら飛び交う蜻蛉の姿が鮮烈です。「とどまらず」という言葉に、魂の往還や命の無常、そしてお盆の終わりの寂寥感が滲み出ています。

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