新麴

新麴

しんこうじ

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意味・由来

「新麴(しんこうじ)」とは、その年の秋に収穫された新米を使って初めて造られた米麹のことです。秋が深まり新米が出回ると、酒蔵や味噌蔵、農家の台所では新酒や新味噌の仕込みが始まります。蒸した新米に麹菌を植え付け、藁苞(わらづと)や麹室(こうじむろ)の筵(むしろ)の中で保温・発酵させます。米の実りに感謝し、新しい年の醸造シーズンの幕開けを告げる、初々しく活力に満ちた生活の季語です。

この季語で詠むコツ

新麴の魅力は、五感に訴えかける豊かな情景にあります。菌の発酵によって生まれる「ほのかな温もり(触覚)」、ふわりと漂う「甘酸っぱく芳ばしい香り(嗅覚)」、菌糸をまとって白く粉を吹いたような「米粒の美しさ(視覚)」などを具体的に捉えるのがコツです。また、薄暗い蔵や土間と、そこに差し込む秋の明るい陽射しとのコントラストを描くと、より一層新麴の清々しさが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・空間を表す言葉(蔵、土間、筵、藁苞、木桶、薄明かり、一筋の陽) ・五感(触覚・嗅覚)を表す言葉(あたたか、微熱、息吹、甘き香、芳し) ・仕込みの手作業を表す言葉(揉む、包む、蒸す、広ぐ)

新麴」の俳句例 (3件)

新麴にまだ日は高き酒屋かな
村上鬼城【現代語訳】新米で作った麹の香りが立ちのぼるなか、酒屋の店先にはまだ秋の明るい陽射しが高々と注いでいる。 【鑑賞】新酒造りが本格化する秋の酒蔵の活気と、澄み渡る秋晴れの明るい光が見事に調和した一句です。豊かな実りと清々しい労働の喜びが、日差しの明るさの中に生き生きと描き出されています。
新麴の藁苞あたたまりにけり
飯田蛇笏【現代語訳】新米の麹を包んだ藁苞(わらづと)が、麹菌の発酵によってじんわりと温かくなってきた。 【鑑賞】麹菌という目に見えない微生物の息吹と生命力を、「あたたまりにけり」という触覚で見事にとらえています。秋のひんやりとした空気のなかで、発酵熱を帯びていく藁苞の温もりが実感として伝わってくる名句です。
新麴や土間ひとすぢの日射し入る
長谷川双魚【現代語訳】新麹の甘い香りが満ちる薄暗い土間に、秋の一筋の鋭い陽射しがすっと差し込んでいる。 【鑑賞】薄暗い作業場の静けさと、外から差し込む一条の陽光のコントラストが印象的です。立ちのぼる新麹の香りと、空気中に舞う塵や胞子が光に照らされるような、清浄で引き締まった秋の空間を鮮やかに切り取っています。

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