? - ?

長谷川双魚

ばせがわそうぎょ

作風・特徴

作風の解説はまだ登録されていません。

代表句 (7件)

佳宵とはただ一枚の障子かな
季語: 佳宵 (autumn)
【現代語訳】秋の素晴らしい夜というものは、庭との間をただ一枚の障子だけで隔てて味わう、この静かで贅沢な空間のことなのだろう。 【鑑賞】「佳宵」の情緒を、障子という極めてシンプルで伝統的な和の設えだけで表現した名句です。障子の向こうに広がる秋の夜の気配や、障子を通した柔らかな光が、贅沢な時間を演出しています。
逆髪の祭の風の逢坂山
季語: 逆髪祭 (autumn)
【現代語訳】逆髪祭のころ、逢坂山には伝説を呼び起こすかのような秋風が吹き抜けている。【鑑賞】逢坂山を舞台とした蝉丸と逆髪の哀しい伝説が、峠を吹き抜ける秋風の冷涼な感触とともに鮮やかに浮かび上がる一句です。「逢坂山」という歌枕の歴史と風土をストレートに捉えています。
落鰻川一すぢの昏さかな
季語: 落鰻 (autumn)
【現代語訳】海へ下る落鰻の気配を宿し、夜の川が一筋の深い暗がりとなって流れていることだ。 【鑑賞】川面そのものは夜の闇と同化して見えにくいものの、一本の黒い帯となって流れる川に、本能に従って海へと向かう落鰻の蠢きが潜んでいる感覚を見事に捉えています。「一すぢの昏さ」という端的な把握が、秋の夜の凄愴な静けさを際立たせています。
貝細工いつぽん買ひて花街へ
季語: 貝細工草 (autumn)
【現代語訳】貝細工の花を一輪買い求め、その足で華やかな花街へと向かっていく。 【鑑賞】乾いた質感を持つ素朴な貝細工の花を一輪だけ買って、歓楽街である花街へ足を踏み入れるという、大人の粋とどこか哀愁を含んだ風情が漂う一句です。
寂厳忌墨の匂へる障子かな
季語: 寂厳忌 (autumn)
【現代語訳】寂厳忌を迎えた今日、障子越しに秋の光が差し込み、どこからか墨の清らかな匂いが漂ってくるようだ。【鑑賞】寂厳忌の日にふと漂う墨の香りと、白く明るい障子の取り合わせが、秋の静寂と上人の高潔な気風をありありと伝えています。
新麴や土間ひとすぢの日射し入る
季語: 新麴 (autumn)
【現代語訳】新麹の甘い香りが満ちる薄暗い土間に、秋の一筋の鋭い陽射しがすっと差し込んでいる。 【鑑賞】薄暗い作業場の静けさと、外から差し込む一条の陽光のコントラストが印象的です。立ちのぼる新麹の香りと、空気中に舞う塵や胞子が光に照らされるような、清浄で引き締まった秋の空間を鮮やかに切り取っています。
ぬかご汁熱きに舌の縮みけり
季語: ぬかご汁 (autumn)
【現代語訳】ぬかご汁があまりにも熱いので、思わず舌が縮み上がってしまったことだ。 【鑑賞】熱々のぬかご汁を口にした瞬間の身体反応を、ユーモアを交えて率直に捉えた一句です。「舌の縮みけり」という飾らない表現によって、秋の寒さの中でいただく汁物の熱さと美味しさ、そしてぬかごの素朴な存在感が生き生きと描かれています。