霜踏む鹿

霜踏む鹿

しもふむしか

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意味・由来

「霜踏む鹿(しもふむしか)」は、晩秋の朝、野山に白く降りた霜を踏みしめながら歩く鹿の情景を詠んだ季語です。秋深まり冷え込みが一層厳しくなる頃、草木が枯れ始めた山中で、鹿が静かに移動する際の霜の割れるかすかな足音や、凛とした寒気の中に佇む鹿の気高い姿を捉えます。「鹿」は秋の代表的な季語で主に妻恋う鳴き声が情趣とされますが、「霜を踏む」という具体的な触覚・聴覚的な動作が加わることで、晩秋特有の張り詰めた空気感と深山の静寂、そして孤高の風情がより鮮明に際立ちます。

この季語で詠むコツ

視覚(白く輝く霜と鹿の毛並み)と聴覚(サクッと霜を踏む微小な音や山間の静けさ)の対比を意識することがポイントです。晩秋の冷たく張り詰めた空気感を背景に、自然の「動」と「静」を巧みに組み合わせると深みのある一句になります。鹿の姿そのものを大きく描写するだけでなく、朝霧や朝日の光、遠く連なる峰々といった広大な自然景観と取り合わせることで、深山の広がりと寂寥感を立体的に表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間・気象:黎明、朝日子、朝霧、嶺の雲、寒気、冷まじ
  • 音・気配:静けさ、微音、足音、息白し、遥か
  • 山野の景:深山、小径、落葉、枯草、木立、尾根

霜踏む鹿」の俳句例 (3件)

霜ふむや鹿に遠かる嶺の雲
飯田蛇笏【現代語訳】降りた霜を踏みしめて鹿が動く山深く、遥か遠くの峰には冷たい雲がかかっている。 【鑑賞】晩秋の張り詰めた冷気と、静寂な山気に息づく鹿の気配を格調高く捉えた蛇笏らしい重厚な名句です。
霜ふみて鹿の立ち行く静さよ
正岡子規【現代語訳】白く降りた霜を踏みしめながら、鹿が去っていくそのあたりの静けさであることよ。 【鑑賞】霜を踏むわずかな音の後に残る、深山の澄み切った静寂を見事に写生した一句です。
霜踏むや鹿追ふ犬の聲遥か
大須賀乙字【現代語訳】霜を踏み分けて走る鹿を追う猟犬の声が、遠く遥かな山あいに響いている。 【鑑賞】冷え冷えとした霜の気配と、山谷に遠く木霊する犬の声の対比が、晩秋の野生の厳しさを鮮烈に描き出しています。

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