餞月

餞月

せんげつ

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意味・由来

「餞月(せんげつ)」とは、秋の美しい月(特に陰暦八月の名月や、八月尽の月)が過ぎ去るのを惜しみ、見送ることを意味する晩秋の季語です。「餞(はなむけ)」には旅立つ人を送るという意味があり、中秋の名月をはじめとする秋の素晴らしい月光の季節に別れを告げ、冬へと向かう季節の推移を情緒豊かに捉えた言葉です。澄み渡る夜空に浮かぶ月に感謝と名残惜しさを捧げる、日本人の繊細な美意識が込められています。

この季語で詠むコツ

満ち足りた名月の華やかさから一転して、次第に冷気を帯びて欠けてゆく月影や、夜の深まりによる寂寥感(せつなさ・もの寂しさ)を描き出すのがポイントです。単に月を眺めるだけでなく、去りゆく季節を見送る心情や、静けさを際立たせる周囲の物音・光景(波音、木々の葉音、冷たい露など)に焦点を当てると、余韻のある深い句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・光:露光(つゆひかり)、梢(こずえ)、影、残る、傾く ・聴覚・静寂:波の音、夜半(よわ)、風の音、遠鳴り ・心情・動作:見送る、惜しむ、別れ、去る、佇む

餞月」の俳句例 (3件)

餞月や夜半過の波のおと
正岡子規【現代語訳】過ぎ去る秋の月を見送る夜更け、夜半を過ぎた静寂の中に寄せては返す波の音が響いている。 【鑑賞】澄んだ秋の夜空の月と、暗い海から聞こえる波の音の対比が鮮やかです。時間が深まるにつれて研ぎ澄まされる聴覚を通して、去りゆく月への惜別の情を静かに描いた名句です。
餞月や梢をはなるゝ山鴉
飯田蛇笏【現代語訳】秋の月を見送る夜、ふと梢から一羽の山ガラスが飛び立っていった。 【鑑賞】静寂の中で突如として梢を離れる山鴉の羽音と動きが、冷徹な秋の空気感を際立たせています。名残惜しい月光の下の張り詰めた緊張感と幽玄な美しさを捉えた一句です。
餞月や杉の梢の露光り
水原秋櫻子【現代語訳】去りゆく月を見送る空の下、杉の木立の梢に結んだ夜露がきらきらと光っている。 【鑑賞】天上の月と地上の梢に宿る露のきらめきが響き合い、秋の冷気と透明感が美しく表現されています。光を巧みに操る秋櫻子らしい、清麗でロマンチックな情景です。

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