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「千振(センブリ)」は、日当たりのよい山野に自生するリンドウ科の二年草です。「千回振り出しても(煎じても)まだ苦い」ことからその名がつき、古くから胃腸の良薬「当薬(とうやく)」として重宝されてきました。秋の深まりとともに星形の可憐な白紫の花を咲かせますが、この開花期に薬効が最も高まるため、根ごと引き抜いて収穫します。この作業を「千振引く」といい、晩秋の山里の手仕事や、澄んだ秋の空気感を伝える季語となっています。
「引く」という具体的な身体動作を伴う季語であるため、引き抜くときの手応えや、指先に残る草の匂い・苦味など、五感(特に触覚や味覚、嗅覚)に訴える表現と相性が抜群です。また、晩秋の傾く陽射しや山の冷気、岩混じりの痩せた土地といった過酷ながらも美しい自然環境を背景に配すると、小さな薬草の生命力と引き手の情趣が際立ちます。
・身体の部位:指先、爪、掌(てのひら)、腰 ・感覚・質感:苦し、青し、土の香、しなり ・山の情景:岩肌、尾根、夕日影、薄日、秋風、山道
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