刺羽

刺羽

さしば

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意味・由来\n「刺羽(さしば)」はタカ科の小型の猛禽類で、秋の渡り鳥として知られる三秋の季語です。春に日本へ飛来して里山で子育てを行い、秋(九月下旬から十月頃)になると越冬のために南西諸島や東南アジアへと大群で南下します。特に伊良湖岬(愛知県)や佐多岬(鹿児島県)などの岬や海峡を群れをなして渡っていく光景は壮観で、澄み渡る秋晴れの空を滑空する姿は日本の秋の風物詩として古くから親しまれています。\n\n### この季語で詠むコツ\n刺羽の魅力は、鋭利な飛翔の美しさと「渡り」が持つ旅情・スケール感にあります。ただ姿を描写するだけでなく、「風」「岬」「海」「秋晴の空」など、彼らが旅立つ雄大な背景とともに詠むと雄渾な句になります。また、一羽の孤高の姿に焦点を当てるのか、群れとなって上昇気流(鷹柱)に乗る壮大な姿を捉えるのかで、句のスケール感や情感を自在に演出することができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 自然・地理: 岬、海峡、群青、天、雲、青嶺、断崖\n- 気象・風物: 秋風、秋晴、気流、風道、潮騒\n- 動詞・叙述: 渡る、翔つ(たつ)、昇る、見送る、切る、傾ぐ

刺羽」の俳句例 (3件)

さしば渡る一湾の碧つくしけり
大野林火【現代語訳】刺羽の群れが、湾の端から端まで広がる青い海を渡りきっていった。\n【鑑賞】澄み切った秋の海湾の鮮やかな青(碧)と、その上空を雄大に渡っていく刺羽の対比が鮮烈な名句です。「碧つくしけり」という措辞に、視界いっぱいに広がる海原と天空の広大さが凝縮されています。
刺羽渡る天の底まで風満ちて
角川春樹【現代語訳】刺羽が渡っていく。どこまでも高い秋の空の底深くまで、強い風が満ちわたっている。\n【鑑賞】「天の底」という大胆で立体的な把握が際立つ句です。大空を渡る刺羽の飛翔と、天界を満たす力強い風の気配が一体となり、秋の高い空の透明感とスケールの大きさを余すところなく伝えています。
刺羽渡る岬の雲をちぎりつつ
桂信子【現代語訳】刺羽が岬にかかる秋の白雲を切り裂くようにして南へと渡っていく。\n【鑑賞】岬の突端を越えて海へと旅立つ刺羽の鋭い飛翔力を、「雲をちぎりつつ」と動的に表現しています。白雲と刺羽の羽色、そして背景に広がる青空の対比が目に浮かぶ、シャープで美しい一句です。

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