猿笛

猿笛

さるぶえ

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意味・由来

「猿笛(さるぶえ)」とは、秋の収穫期に山から下りてきて畑や果樹を荒らす猿を威嚇し、追い払うために吹く竹製や木製の素朴な笛のことです。また、猿回しが芸の合図として用いる笛を指すこともあります。俳句においては主に前者の、山里で害獣を追うための笛として詠まれ、澄んだ秋の空気を震わせる甲高い鋭い音色が特徴です。秋の豊かな実りと、それを守ろうとする山里の厳しい暮らし、そして深まりゆく秋の寂寥感や哀愁を象徴する生活・人事に根ざした季語です。

この季語で詠むコツ

猿笛を詠む際は、その「音の響き」を主軸にしつつ、視覚的な山里の風景と対比させることがポイントです。笛の音そのものをただ説明するのではなく、山肌に木霊(こだま)する様子や、夕暮れの静寂を破る鋭さなどを切り取ることで、聴覚的な臨場感が生まれます。また、笛を吹いている人の気配や、猿との知恵比べのような緊迫感を描くと、情景に奥行きが加わります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・里山の自然や実り:柿、栗、棚田、山畑、薄(すすき) ・時間や光の描写:夕日影(ゆうひかげ)、暮色、夕靄、秋日 ・空間や聴覚の言葉:こだま、谷深し、山深し、尾根、静寂

猿笛」の俳句例 (3件)

猿笛や空青うして柿赤し
正岡子規【現代語訳】猿笛の鋭く澄んだ音が響く中、見上げれば秋の空は吸い込まれそうに青く、柿の実は鮮やかに赤く実っている。【鑑賞】青空と熟した柿という秋ならではの鮮烈な色彩美に、猿笛という聴覚的な要素を重ねた名句です。秋晴れのすがすがしさと山里の暮らしの情景が、無駄のない写生によっていきいきと立ち上がってきます。
猿笛や暮れて久しき山の宿
水原秋桜子【現代語訳】遠くから猿笛の音が聞こえてくる。日はとうに暮れて、すっかり夜の闇に包まれた山宿であることだ。【鑑賞】とっぷりと日が暮れた山宿の静寂の中で、ふと耳に入ってくる猿笛の音を詠んでいます。人里離れた秋の夜の深まりと、旅情を帯びた寂寥感がしみじみと伝わってくる風情ある一句です。
猿笛のひびくや秋の夕日影
夏目漱石【現代語訳】山里に猿笛の音が甲高く響き渡っている。見渡せば、秋の夕日が長く美しい影を落としている。【鑑賞】哀愁を帯びた猿笛の音色が、夕暮れ時の山あいにこだまする様子を捉えています。秋の日の入りの早さと、傾く夕日の光と影のコントラストが、笛の余韻とともに深い郷愁を誘います。

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