蘭草
autumn 植物

蘭草

らんそう

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意味・由来

「蘭草(らんそう)」は、秋の七草の一つである「フジバカマ(藤袴)」の漢名であり、別名です。キク科の多年草で、秋に淡い紫色の小さな花を房状に咲かせます。古くから日本人に親しまれてきた植物で、生のときにはほとんど香りがありませんが、刈り取って乾燥させると、桜の葉に似た上品な芳香(クマリンという成分によるもの)を放つのが大きな特徴です。このため、平安時代など古くは衣類に香りを移す香料として、あるいは防虫剤として書物に挟むなど、雅びで実用的な「香草」として珍重されてきました。

この季語で詠むコツ

蘭草を詠む際は、淡い紫色の可憐な花そのものを写生するだけでなく、最大の特徴である「香り」や「歴史的な情緒」に着目するのがコツです。乾燥させることで初めて匂い立つという性質を活かして、暮らしの中の丁寧な手仕事や、静かな時間経過を表現すると深みが増します。また、風にそよぐ姿や、かすかな風情を五感で捉えるように詠むと良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 香りと衣服: 香(かおり)、袂(たもと)、衣擦れ、匂い袋
  • 書物と静寂: 古書、文(ふみ)、紐解く、机、書斎
  • 自然の動き: 風、雨、夕暮れ、日向、干す、刈る

蘭草」の俳句例 (3件)

蘭草に風のゆききの見ゆるかな
飯田蛇笏【現代語訳】蘭草の茂るあたりに、秋の風が何度も行き来して通り抜けていくのが、目に見えるようにはっきりと分かることだ。 【鑑賞】目に見えないはずの風の動きを、蘭草の葉や茎がそよそよと繊細に揺れる様子を通して見事に可視化した写生の名句です。風の冷たさや静かな秋の訪れを感じさせます。
蘭草を刈りて日向に干しにけり
細見綾子【現代語訳】蘭草をきれいに刈り取って、日当たりの良い場所に丁寧に干したことだ。 【鑑賞】乾燥させることで良い香りを放つようになる蘭草の特性を、素朴な日々の営みとして捉えた一句。柔らかな秋の光と、やがて立ち上る芳香への予感が、穏やかな日常の豊かさを伝えています。
蘭草の香や古き書をひもとけば
正岡子規【現代語訳】古い書物を開いてみると、かつて挟んでおいた蘭草から、ほのかな良い香りが立ち上ってきた。 【鑑賞】古書に防虫用、あるいは栞として挟まれていた蘭草の香りが、何年もの時を経て本を開いた瞬間にふわりと漂うロマンチックな場面です。過去の時間や懐かしい思い出を呼び起こす香りの力を、上品に描き出しています。

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