扇鶏頭

扇鶏頭

おうぎけいとう

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意味・由来

「扇鶏頭(おうぎけいとう)」とは、ヒユ科の秋の草花「鶏頭」の一品種で、花穂が帯化(茎や花穂が平たく癒合する現象)して、まるで扇を開いたような平たい半円状に広がるものを指します。通常の鶏頭よりも平面的で独特のボリューム感があり、ヴェルヴェットのようなしっとりとした質感と、燃えるような深紅や鮮やかな黄色・橙色の花色が特徴です。そのユーモラスでありながら堂々とした姿は、秋の花壇や庭先で強い存在感を放ちます。

この季語で詠むコツ

扇鶏頭を詠む際は、そのユニークでくっきりとした「扇のような形状」と、花びらが密生した「質感や色彩の濃密さ」に着目するのがポイントです。また、扇という道具が持つ「あおぐ」「ひらく」といった連想を、秋の深まりや日差し、風の気配と響き合わせることで、ただの写生にとどまらない奥行きのある句になります。秋晴れの澄んだ光や、静まり返る庭の空気感と対比させると、その鮮やかさが一層引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:紅(くれない)、深紅、濃紫、秋日、夕日、日ざし ・質感・形状:厚み、襞(ひだ)、ビロード、ひらく、重たげ ・場所・情景:古庭、石段、白壁、秋晴、露、静寂

扇鶏頭」の俳句例 (3件)

扇鶏頭日を吸ひつくす紅ならむ
長谷川素逝【現代語訳】扇鶏頭の花は、秋の日差しをすべて吸い尽くしてしまったかのように深い紅色をしているのだろう。【鑑賞】扇鶏頭の濃密で深い赤色を「日差しを吸い尽くしたからだ」と捉えた大胆な把握が印象的です。秋の澄んだ強い日差しと、ビロードのような花の質感が見事に表現されています。
扇鶏頭ひらききつたる紅さかな
飯田蛇笏【現代語訳】扇鶏頭の花がめいっぱいに扇を開ききった、その見事な深紅の鮮やかさであることよ。【鑑賞】これ以上は開かないほど堂々と咲き誇る扇鶏頭の力強い姿を、余分な修辞を削ぎ落として詠み切っています。重厚で格調高い蛇笏の作風が光る一句です。
扇鶏頭折られてもなほひらきをり
安住敦【現代語訳】枝を折られてしまった扇鶏頭だが、それでもなお扇をいっぱいに広げて咲き続けている。【鑑賞】風や手折られたことによる傷を負いながらも、扇の形を保ったまま鮮やかに咲く花の生命力と頑なさを描いています。物の哀れと健気な存在感が同居しています。

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