御行
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御行

おぎょう

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意味・由来

「御行(おぎょう)」は、新年(仲春に近い正月行事)の季語であり、特に京都・大原の三千院で正月二日の未明から早朝にかけて行われる仏事を指します。僧侶たちが松明を掲げ、「おぎょう、おぎょう」と独特の唱え言を響かせながら、大原の里や山内を練り歩く厳かな行事です。新年の始まりにあたって、悪魔退散や天下泰平、五穀豊穣を祈願するもので、漆黒の闇の中に燃え盛る松明の火と、張り詰めた冬の寒気が独特の神秘的な美しさを醸し出します。

この季語で詠むコツ

御行を詠む際には、「闇」と「火(光)」の色彩対比、あるいは「静寂」と「声・足音(音)」の聴覚的なアプローチを意識することが大切です。新年の夜明け前の凛とした空気感、大原という土地が持つ歴史や自然の厳しさを背景に据えることで、行事の持つ敬虔さと精神的な深さを表現することができます。単なる行事の報告に終わらせず、作者自身がその寒気の中に身を置いているかのような臨場感を盛り込むと効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空間・自然:大原、大原路、山闇、夜明け、東雲、寒気、残雪
  • 光・色彩:松明、火の赤、揺れる、ともしび、影、煙
  • 音・静寂:唱え声、鐘の音、足音、静まり返る、しじま

御行」の俳句例 (3件)

御行の列うつくしくすれちがふ
細見綾子【現代語訳】御行の厳かな行列が、夜明け前の薄暗い中で美しくすれ違っていく。【鑑賞】松明の火を携えた僧侶たちの列が交差する瞬間を捉えた句です。新年の寒冷な空気の中で展開される静かな仏事の様子が、「うつくしくすれちがふ」という言葉によって一幅の絵画のような調和と美しさをもって立ち上がります。
御行や大原の闇うごきだす
森澄雄【現代語訳】新年の御行の行事が始まると、それまで静止していた大原の深い闇が、まるで生き物のようにざわめき、動き出すように感じられる。【鑑賞】大原三千院の御行を詠んだあまりにも有名な名句です。未明の闇の中、松明の明かりと僧侶たちの移動によって、大原全体を包む巨大な「闇」そのものが生命を得て動き出すかのような、ダイナミックで圧倒的なスケール感を描き出しています。
おぎょうおぎょうと闇のそこよりともりくる
釈迢空【現代語訳】「おぎょう、おぎょう」という唱え声とともに、深い闇の底から松明の明かりがひとつ、またひとつと灯り、こちらへ近づいてくる。【鑑賞】民俗学者でもあった釈迢空(折口信夫)らしい、行事の呪術的・神秘的な本質を捉えた句です。平仮名で表記された「おぎょうおぎょう」という響きが闇に木霊し、信仰の灯火が闇を切り裂いて現れる瞬間の厳かさと生命力に満ちています。

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