上寅日
newyear 時候

上寅日

かみのとらのひ

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意味・由来\n「上寅日(かみのとらのひ)」、または「上寅(じょういん)」とは、正月に入って最初に迎える「寅(とら)の日」を指す新年の季語です。古来、十二支の「寅」は毘沙門天の使いとされ、特に京都の鞍馬寺などで盛んに行われた「初寅参り」と深く結びついています。宮中においても、新年の邪気を払い福徳を祈る特別な日とされてきました。新春の厳かで清らかな空気の中に、一年の吉祥を願う力強い生命感や信仰心が息づく、格式の高い季語となっています。\n\n### この季語で詠むコツ\nお正月の華やかさというよりは、冷たく引き締まった新春の空気や、信仰の場が持つ静寂、武家的な厳かさを意識して詠むと効果的です。寅という動物が持つ力強さや、毘沙門天の勇猛さに通じる「鋭さ」「凛とした気配」を、冬枯れの自然や寒光などと取り合わせて表現すると、この季語の個性がより鮮明に引き立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・地名・場所:鞍馬(くらま)、深山、社(やしろ)、杉木立\n・信仰・縁起物:毘沙門天、お札、お守り、虎の置物、鞍馬縄\n・武家・厳かさ:兜(かぶと)、弓矢、弦音、鉄\n・自然・気候:寒気、寒風、日の光、杉の幹、夜闇

上寅日」の俳句例 (3件)

上寅の夜風に強き杉の闇
阿波野青畝【現代語訳】正月の最初の寅の日の夜、激しい夜風が吹き抜ける中でも、鞍馬の杉木立の深い闇はびくともせず、強くそこに佇んでいる。【鑑賞】上寅の日の夜が持つ、神秘的で少し畏怖を抱かせるような寒夜の光景です。風に屈しない「杉の闇」の力強さが、毘沙門天の勇猛なイメージや、新年に臨む人間の強い決意と重なり、深い余韻を残します。
上寅や兜にかくる鞍馬縄
与謝蕪村【現代語訳】正月の最初の寅の日を迎え、武家では兜に鞍馬の魔除けの虎縄を掛けて、一年の武運長久と吉祥を祈っていることだ。【鑑賞】蕪村らしい、絵画的で格調高い武家趣味が表現された一句です。鞍馬寺の毘沙門天(寅に縁が深い)から授かった神聖な縄を、武を象徴する兜に飾ることで、新春の引き締まった緊張感とめでたさが美しく調和しています。
上寅の日のあたりたる杉の幹
高浜虚子【現代語訳】正月の最初の寅の日、静寂に満ちた杉木立の中に、厳かな冬の陽光が一本の杉の幹をまっすぐに照らし出している。【鑑賞】虚子得意の「客観写生」によって、静かに神聖な空気が描かれた句です。新年の「上寅」という特別な日の朝、冷たく透き通った光が杉の幹を照らす様子に、言葉以上の清らかな祈りと神々しさが感じられます。

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