初虚空蔵
newyear 天文

初虚空蔵

はつこくうぞう

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意味・由来

「初虚空蔵(はつこくうぞう)」とは、新年最初(1月13日)に行われる虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)の縁日のことです。虚空蔵菩薩は、広大無辺な宇宙のような無限の知恵と福徳を持ち、人々に知恵や記憶力、芸術の才能を授ける仏様として古くから篤く信仰されてきました。特に、数え年十三歳になった子どもたちが知恵を授かりにお参りする「十三詣り」の本尊としても有名です。寒さの厳しい新春の時期、知恵の授かりや技術の向上を願って、多くの人々が静寂な山寺などへ参拝に訪れる伝統行事であり、新年の厳かな空気感を象徴する季語となっています。

この季語で詠むコツ

初虚空蔵を詠む際は、お寺を取り巻く自然環境や、新春ならではの澄み切った寒気、静寂な雰囲気に目を向けるのがコツです。多くの虚空蔵尊は山や小高い丘、鬱蒼とした木立ちの中に祀られていることが多いため、「石段」「杉の木」「木枯らし」といった厳粛な景観と取り合わせると、冬から新年への引き締まった空気感が際立ちます。また、知恵や手習い、職人の技芸向上といった信仰の背景を意識して、参拝する人々の様子や手の動きなどを写生するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 境内の景観:石段(磴)、杉木立、山門、冷たき風、木漏れ日、残雪
  • 信仰と参拝:線香の煙、鈴の音、おみくじ、十三歳、手習い、職人
  • 五感の描写:真鍮の冷たさ、読経の声、杉の香り、寒気、静寂

初虚空蔵」の俳句例 (3件)

山門を出づれば人や初虚空蔵
森澄雄【現代語訳】初虚空蔵の参拝を終えて寺の山門を出ると、そこには多くの人々が行き交っている。自分もまた、その俗世の雑踏の中のひとりなのだなと実感することだ。 【鑑賞】虚空蔵尊の静謐な境内で祈りを捧げた後、一歩山門を出た瞬間に、現世の賑やかで温かい人の営みに引き戻される感覚を素直に詠んでいます。「我も人なり」という安堵感と、新年の引き締まった空気の対比が見事な名句です。
松籟のなかに磴あり初虚空蔵
詠み人知らず【現代語訳】松風の音が厳かに響き渡る境内のなかに、まっすぐに伸びる石段がある。今日は初虚空蔵の縁日である。 【鑑賞】「松籟(しょうらい)」は松の梢を吹き抜ける風の音、「磴(とう)」は石段を意味します。凛とした新春の寒気の中、松風を聴きながら虚空蔵菩薩のもとへと一段ずつ石段を上っていく、厳かで絵画的な道行きの情景が美しく表現されています。
一山の杉濡れてあり初虚空蔵
大野林火【現代語訳】山全体を覆う杉の木々がしっとりと濡れて静まり返っている。今日は初虚空蔵の縁日である。 【鑑賞】新春の朝霧や小雨に濡れた霊山の杉林を捉えた句です。濡れた木々が放つ清らかな霊気と深い静寂が、知恵を授ける虚空蔵菩薩の厳かな縁日の朝にふさわしく、自然の生命力と信仰の敬虔さを同時に感じさせます。

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