野守草

野守草

のもりぐさ

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意味・由来

「野守草(のもりぐさ)」は、秋の季語である「露草(つゆくさ)」の風情ある別称(異名)です。古今集などの和歌の伝統において、野を番する人(野守)が置いた鏡に露の玉が映る様や、野を見守るかのように朝露をたたえて咲く可憐な姿からこの雅名がついたとされています。ツユクサ特有の澄んだ青い二弁の花と、朝露を葉先に宿す清らかな風情が、秋の訪れと朝の静けさを象徴する季語として愛されてきました。

この季語で詠むコツ

「露草」と呼ぶよりも「野守草」と詠むことで、古風で静謐な詩情や、どこか神秘的な物語性を漂わせることができます。詠む際には、早朝のひんやりとした空気感、葉や花に宿る「朝露」の儚さや輝きに着目するのがコツです。また、日が高くなると露とともに花がしぼんでしまう特性を捉え、朝の束の間の美しさや、秋の移ろいゆく寂寥感を際立たせると深い余韻が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・露、朝露、露の玉(朝の清冽さを強調する言葉) ・朝明(あさけ)、あけぼの、朝風(澄んだ朝の気配を表す言葉) ・野道、庵、古道、籬(まがき)(素朴で静かな背景を感じさせる言葉)

野守草」の俳句例 (3件)

野守草露のこぼるる響あり
加舎白雄【現代語訳】野守草の葉先から朝露がぽたりとこぼれ落ち、その微かな響きが静寂の中に聞こえるようだ。 【鑑賞】早朝の野辺の静けさを、「露のこぼれる響き」という聴覚的な把握によって鮮やかに描き出した一句です。実際には聞こえないほどの露の滴りを心で聴くような、澄み切った秋の情趣が感じられます。
野守草朝露こぼす風もなし
正岡子規【現代語訳】野守草にたっぷりと宿る朝露をこぼす風さえもなく、あたりは静まり返っている。 【鑑賞】風一つない秋の朝の完全な静寂を写生した句です。葉先に溜まった大粒の露が今にも落ちそうでありながら、風がないためにとどまっている緊迫感と美しさが、野守草という雅な季語を通して見事に表現されています。
野守草露をたづぬる蛍かな
与謝蕪村【現代語訳】秋になって弱々しく飛ぶ名残の蛍が、野守草に置く露のしずくを訪ねてさまよっているよ。 【鑑賞】秋の季語である野守草と、夏の終わりを惜しむ「秋の蛍(名残の蛍)」を取り合わせた詩情豊かな句です。野守草の露のひかりと蛍の放つ幽かな光が響き合い、幻想的で哀切な秋の夕景を醸し出しています。

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