ねぶと流し

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意味・由来

「ねぶと流し」とは、青森の「ねぶた」や秋田の「ねぶり流し」などに代表される、東北地方の七夕行事の最終日に行われる風習です。「ねぶと」は「眠気(ねむたさ)」が転訛した言葉で、夏の農繁期に襲ってくる睡魔や怠け心、そして病魔や災厄を形代(灯籠や笹竹など)に移し、川や海へ流し去って秋の収穫の無事を祈る「眠り流し」に由来します。夜の海や川の暗闇に、灯火をともしたねぶたが静かに流れていく光景は、祭り本番の熱気と喧騒から一転し、初秋の哀愁や静寂を際立たせる幻想的な風物詩です。

この季語で詠むコツ

熱狂的な祭りの余韻と、それが終わった瞬間の虚脱感や静けさのコントラストを描くのが最大のコツです。「光と闇」「喧騒と静寂」「火と水」という鮮烈な対比を意識すると、初秋の澄んだ空気感や寂寥感が立ち上がります。川波の音や夜の冷気、波に呑まれて消えていく火の粉など、五感を活かした描写を取り入れ、送られていく灯籠を見送る人々の心情に寄り添うように詠んでみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や闇に関する言葉:夜浪(よなみ)、沖、川面、暗嶺(あんれい)、闇 ・火や灯りに関する言葉:火屑(ひくず)、残り火、蝋涙(ろうるい)、灯影 ・感情や季節感の言葉:寂けさ、鎮もる、秋風、名残、送りけり

ねぶと流し」の俳句例 (3件)

ねぶた流し海昏れやすき波がしら
能村登四郎【現代語訳】ねぶた流しの神事が進む中、秋が近づく海は早くも暮れていき、白く立つ波頭が夕闇に浮かび上がっている。 【鑑賞】祭りの終焉を告げるねぶた流しの情景です。「海昏れやすき」という言葉に、夏が過ぎて秋の気配が深まり、日が急速に短くなっていく季節の移ろいが見事に捉えられています。
陸奥のねぶた流して闇あまる
沢木欣一【現代語訳】みちのくの海へねぶたを流し去ったあとには、ただ果てしない闇ばかりが取り残されている。 【鑑賞】「闇あまる」という措辞が鮮烈で、みちのくの夜の深さと広大さを感じさせます。絢爛たる光と熱気が去った後に広がる漆黒の闇に、東北の風土の厳しさと秋の訪れが力強く表現されています。
ねぶた流し了へて暗嶺の立ち並ぶ
福田甲子雄【現代語訳】ねぶた流しの行事がすべて終わり、ふと目を上げると、暗闇の中に黒々と連なる山々の峰が静かに立ち並んでいる。 【鑑賞】華やかで幻想的な灯火が消え去った後の圧倒的な静寂を詠んでいます。明かりが失われたことで、周囲を取り囲む山並みの暗さと重みが強調され、祭りのあとの深い寂寥感が胸に迫ります。

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