球根秋植う
autumn 時候

球根秋植う

きゅうこんあきうう

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意味・由来\n「球根秋植う(きゅうこんあきうう)」は、晩秋の季語です。チューリップ、ヒヤシンス、スイセン、クロッカスなど、翌春に花を咲かせる球根を秋の土に植え付ける作業を指します。冬の厳しい寒さを地中で乗り越えることで、春に美しい大輪を咲かせる球根たち。やがて訪れる凍てつく季節を前に、未来の春の色彩を夢見ながら手作業で進める、希望と静かな情熱に満ちた園芸の営みです。\n\n### この季語で詠むコツ\n球根は一見すると地味で乾いた塊ですが、その内側には鮮やかな花園の可能性が秘められています。「現在の地味で静かな土仕事」と「未来の華やかな春への憧れ」という、時間的な二面性を意識して詠むと、詩情に奥行きが生まれます。また、指先に触れる土の冷たさや、球根の丸み、重さといった五感を具体的に描写することも大切です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・身体に関する言葉(指、爪、手のひら、ひざ)\n・光や影(日だまり、薄日、秋日影)\n・未来の色を暗示する言葉(赤、黄、夢、春を待つ)\n・作業の動作や道具(小さなシャベル、一塊、掘る、埋める)

球根秋植う」の俳句例 (3件)

球根を植ゑて久しき日向かな
水原秋桜子【現代語訳】秋植えの球根を庭に植えているうちに、いつの間にかうららかな日向に長い時間座り込んでいたことだなあ。【鑑賞】春に咲く花を夢見ながら一球一球を丁寧に植える作業。没頭するうちに時が経ち、晩秋の柔らかで温かい日差しが心まで包み込んでくれるような、穏やかで幸福な時間が表現されています。
球根を植ゑてしまひてそれからどう
高浜虚子【現代語訳】球根をすべて土に植え終えてしまった。さて、それからどうしたものだろうか。【鑑賞】作業が終わった瞬間の、ふとした空白感を捉えた一句。「それからどう」という口語を用いた軽妙な問いかけが、手持ち無沙汰な可笑しみとともに、春の到来を静かに待つ長い時間の始まりを予感させます。
球根を植うるばかりに土掘りぬ
細見綾子【現代語訳】ただ球根を植え付ける、そのことのためだけに、ひたすら庭の土を掘り起こしたことだ。【鑑賞】「〜ばかりに」という表現から、余計な雑念を払い、無心になって土と向き合う作者の姿が浮かびます。土を掘るという最も素朴な労働の中に、生命を地中に託す厳かさと静かな喜びが満ちています。

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